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参照用 記事

“古典論理=可換環論”の計算と種明かし

「古典論理は可換環論なんだよ」のなかに、

  1. 愚直にrudimentary calculationを実行してください。
  2. これまたひたすら単純計算をすれば、…
  3. これも、紙と鉛筆と手で単純計算あるのみ。

という表現がありますが、僕は実際には計算してなかったので、やってみました(疲れた)。計算で確認すべきことは:

  1. MICR(乗法的ベキ等可換環)からBL(ブール束)がちゃんと作れること
  2. BLからMICRがちゃんと作れること
  3. MICR→BL→MICRでもとに戻ること
  4. BL→MICR→BLでもとに戻ること

途中で失敗したりしているけど:

  1. 計算用紙 1:MICR→BLの確認、うまくいった。[追記]BL側の∧ベキ等律を忘れているけど、x∧x := x + x + xx = x + x + x = x 。[/追記]
  2. 計算用紙 2:BL→MICRの確認、分配律のところで挫折。
  3. 計算用紙 3:BL→MICRの分配律、なんとかなった。
  4. 計算用紙 4:MICR→BL→MICRとBL→MICR→BLの確認、実際には一回失敗していて、もう一枚の計算用紙で“練習”している。

ブール束から定義した可換環(となるはずの代数系)における分配律と、BL→MICR→BLでミート(∧)が再現することを確認するときにワケワカラナクなっています。で、“オリジナルの状況”に戻ってうまくいことを再確認して、オリジナル計算を真似てもう一度やり直し。

この“オリジナルの状況”とは:

  • 普通の集合ブール束(ベキ集合)は、対称差 X△Y := (X\Y)∪(Y\X) = (X∩Yc)∪(Y∩Xc) を加法、∩を乗法とすれば、乗法的ベキ等可換環となる

というものです。この事実は見やすく確認も容易です。これをもとに、双対原理により“ひっくり返した”定義が「古典論理可換環論なんだよ」で紹介した定義です。人為的にひっくり返しているため、直観が働きにくくなってしまうんですよね。

実は、Tを1に対応させることも出来て、そのほうが関手の構成は直観的で楽だったりします。

とはそういう事情を言っています。

後で見て混乱しないように注意:

  1. 記法は計算ごとに少しずつ変えています。
  2. 束演算から定義された加法を#、乗法を・とか*で表しているところがあります。
  3. 主に束演算を行うところでは、x∨y→x + y, x∧y→xy, ¬x→x'と書いています。この記法だと、加法が乗法に対して分配するところが奇妙になるので注意。
  4. 環演算から定義された∧をΠで表しているところがあります。

[追記 date="翌日"]「trueを0にしたほうが計算がスムーズ」なんて言ったことが発端で話をはじめたのだけど、別に計算はスムーズじゃないね。「人為的にひっくり返しているため、直観が働きにくくなってしまうんですよね」、というわけで、めんどくさい(天下りに双対原理を使って計算を避けることもできるが)。実際は、「trueを0にしたほうが可換環論との対応がスムーズ」ってことでした。[/追記]