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参照用 記事

若い時分に本を一冊読んでおくと、二,三十年後も役に立つことがある

昨日線形代数がらみの話を書いたのですが、線形空間写像によりコンパクト閉圏の例を作るくらいなら、まー僕でも説明を書けるかな、と思いました。(気力があれば、だけど。)

解析学や数論となると、ほとんどお手上げですが、線形代数を使うのは割と抵抗ないのです。で、「なんでかなー?」と思ったら、二十代の時に、一冊だけ(正確には一冊の半分くらい)線形代数(あるいは線“型”代数)の本を読んだことがあるなー、と。

本の実物はないし、調べても情報が出てこないので曖昧な記憶ですが; タイトルはずばり Linear Algebra だったと思います。紀伊国屋で買った英語本で、出版元も紀伊国屋だったような気がします。確か、もとがロシア語の教科書で、それの英訳を割と安い価格で出していたような。二分冊のうちの最初の一冊だったかも知れません。特に特徴がある教科書ではありませんが、比較的にモダンなスタイルで、まんべんなくトピックを扱っていたと記憶してます。

ある年の夏場、お盆で帰省した時に集中的に、その前後もたぶん2ヶ月くらいの期間、ノートを取りながら Linear Algebra を読んでいました。「ノートを取りながら本を読む」という経験は後にも先にもこのときだけです。英語の語彙が乏しく、そもそも英語の本を読んだことがなかったので、辞書を引いた結果をメモしておく必要があった、ということですけど。

これだけの経験でも、「線形代数、分かりそう」という気分になります。テンソル計算(上下の添字を使うヤツ)には辟易したり、長ーい期間、線形代数なんてイチミリも関係ないこともありました。それでも、「Linear Algebra を半分は読んだ俺だ、なんとかなるだろう」って潜在意識(?)は二,三十年たった今でも残っています。

とはいえ、固有値問題とかになると「ダメだ、ソレわからん」となります。それは、Linear Algebra の読み残した半分に書いてあった話題だからです。「Linear Algebra を半分は読んだ俺」の「半分」ってのが実に情けないのですが、半分でもけっこう助かっています。本自体もノートも無くなっていますが、冷房がないけど割と涼しかった田舎の畳部屋、それと、Linear Algebra のエッセンシャルな概念、その記憶はこんなにも時間がたっても残っています。確たる目的がなくても、真面目に教科書を(できれば半分じゃなくて)読んでおいて損はないんじゃないのかなー、時間と気力があるときに。