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参照用 記事

気が散る日々

ここ何日か気が散ってます。

たいして興味を持ってなかったRDFが妙に気になりだしたり。複圏(オペラッド)や多圏の上でのラムダ計算が急にリアルに思えてきたり。

あと、derivatorね。「「グロタンディーク」って言ったらカッコイイのか?」でちょっと触れました。

[グロタンディークによる] derivatorの提案は1990年頃なので導来圏よりかなり後になります。なんでも、導来圏/三角圏の問題点を解決するためにderivatorが導入されたようです。

1990年頃だと、グロタンディークが引退(隠遁)する直前の仕事ですね。その後、ジョルジュ・マルツィニョティス(Georges Maltsiniotis)が発展させて、ドゥニシャルル・シザンスキー(Denis-Charles Cisinski)、アムノン・ネーマン(Amnon Neeman)とかがderivatorのエキスパートのようです。最近だとモーリッツ・コーツ(Moritz Groth)という(おそらくは)若い人が活躍している模様。

コーツの定義だと、prederivatorとは、D:CatopCAT という厳密2-関手に過ぎません。ここで、Catは小さい圏の圏、CATは小さいとは限らない圏の圏です。prederivatorに4つの条件を課してderivatorを定義しています。そのうちの1つは D(X + Y) = D(X)×D(Y) という指数法則、もうひとつは F:JK に対する D(F):D(K)→D(J) が右随伴と左随伴を持つことです。残る2つの条件の記述には準備が必要ですが、比較的単純な条件です。さらに条件を付けていくと、三角圏の族が絞り出せる、とか、たぶんそんな事らしいです。

あんまり難しいことは言わなくても、Catの部分圏を図形の集まりとみて、各図形の不変量/特徴付けとしてCATの対象である圏を対応付ける、と考えるだけでも役に立ちそうな雰囲気がするんです。

それはともかく、derivatorの日本語訳が見つかりませんでした。関手に近い発音で「導手」がいいと思ったのですが、数論や楕円曲線で既に導手(conductor)という言葉が使われているようです。導来手かな。preを付けると前導来手となって長たらしい。漢字一文字で「導」だけ、… は無理か?