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参照用 記事

圏に働くオペレータ

圏に構造を与える方法は色々あるけれど、汎用的かつ組織的な方法といえば、enrichmentとinternal category構成となるのだろうか? ふと気が付けば、圏と一緒にオペレータを考える例も随分とある。ここで、オペレータとは、関手のときもあれば自然変換のときもあれば、どちらでもないケースもある。

monoidal categoryは2項関手(積)P:C×C→Cと一点圏からの関手(単位)I:0→Cを備えた圏(C; P, I)と定式化できる。groupoidのときは、反変関手(逆)R:C→Cを加えた(C;P, I, R)となる。

groupoidにおける逆(inverse)は、対象上では恒等である反変関手でR;R=Idとなっている。Wolfram Kahlの論文に出てくるconverseも同じ性質を持っているし、Abramskyのstrongly compact closed category(http://web.comlab.ox.ac.uk/oucl/work/samson.abramsky/qdtalk.pdf))でも共変の*1そのようなオペレータが出てくる。

  1. A∈|C|ならば R(A) = A (対象上では恒等)
  2. R;R = Id (鏡映性)

を満たす反変または共変関手はinvolution(対合)と呼ぶのが適切だろう。対象に極性(polarity, charge, sign)を持たせるときは、極性反転RはR(A) = Aにはならないので、先の意味での対合とは呼べない -- 対称(symmetry)、裏返し(reverse)は使いすぎているから、対蹠(たいせき;antipode)がいいと僕は思っているが、どうかな?

ちなみに、線形空間Vのdual V*は、V* = V ではないし、V** = Vでもないから、involutionでもantipodeでもない。有限次元に限れば 'V** canonically-iso V' となるがイコールではないから、strictなanotipodeではない。こんなときは、weak antipodeなのか、quasi-antipodeなのか?

category-with-operatorな構造といえば、trace、fixed-point、それとKleene圏のKleene starも圏上のオペレータだ。これらは関手でもないし自然変換でもない(部分的に自然性が成立してるが)。このてのオペレータは計算がエキゾチックになるので、取り扱いが面倒だ(慣れの問題かも)けど、あっちこっちで顔を出すから、必然的な存在理由があるのだろう。

*1:2005-06-28追記:共変ではなくて反変でした。