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参照用 記事

ゲーデル関連本の紹介

川俣さんからトラックバックをいただいたのですが、そのなかでホフスタッターの本が紹介されています。出版以来20年もたったんですね、なつかしい。とは言っても、僕はこの本を読んでも買ってもいません。当時、かなり評判になったのは憶えてますが -- 僕の周辺では、「ゲイバー本」とか「ゲイシャ本」とか呼ばれていましたね。

でも、ゲイバー本みたいに分厚くて高い本は苦手。僕が好きなのは、薄くて安くて字がイッパイ詰まっているヤツ。(文字数/値段)の値が大きいと得した気がします。気に入ると持ち歩くので、気に入った本ほどどっかでなくします、嗚呼。

ところで、「あなたにも(たぶん)わかる『ゲーデルの不完全性定理』 発端<ほったん>編」の第4節で、参考書を6冊紹介しました。うち3冊は手持ち、2冊は(たぶん)紛失、1冊は世間的に有名な本(僕は未読)です。ここで、昨日本屋で見つけて買った2冊を追加紹介しておきます。



スマリヤン『ゲーデルの不完全性定理』に対して、「訳文・訳語はどうもいただけない」と書いたのですが、翻訳ではない高橋昌一郎さんの文章はどうか?と気になって手に取りました。わかりやすいですね :-) あの大槻教授が編集長であった『パリティ』の連載であったせいか、反・反科学の話題も多く、今の僕の興味にも合致します。

ゲーデルへの言及はごくわずかですが、p.152「ゲーデルの『間違え方』」の節は爆笑できます。クライゼルの論文が間違いを犯したのが蓄積されて惨憺たることになっている例が、p.154, p.155に記載されています。当事者である「ある高名なジャーナリスト」とは、いまではトンデモ側に逝ってしまった立花隆さんでしょう、たぶん。この部分でゲラゲラ笑えただけでもモトは取った気分。



特筆すべきは、ゲーデルの原論文の日本語訳が収録されていることです。これでもう、"From Frage To Godel"やDoverブックは不要でしょう。読み物としても面白そうです。が、オシャベリや例え話に終始しているわけではありません。([追記]「不要でしょう」は言い過ぎでした。ゲーデル原論文のみが目的で、英語より日本語が良いなら実際不要ですが、解説とか他の部分もありますからね。[/追記]

ゲーデルの経歴に関しては、おそらくは“クライゼルの論文”を参照しているらしく、高橋さんの本で指摘されていた間違いが含まれます。僕は、歴史的“事実”も多分に脚色や幻想を(そして間違いも)含むと思っているので、気にはなりませんけどね。

ま、原論文の日本語訳だけでも、これまたモトは取った気分。