子供達と一緒に、科学技術館(http://www.jsf.or.jp/)とか子供の城(http://www.kodomono-shiro.or.jp/)に行くのですが、科学技術館の4, 5階、子供の城の10階に、子供向けパソコンコーナーがあります。
科学技術館5Fでは、子供向けに特別に作ったソフトをインストールしているらしくて、未就学児である下の子も、カメラから画像を取り込んで加工するソフト(名前は「いない、いない、ばぁ」)で特に問題なく遊んでました。
しかし、子供の城ではダメでしたね。使用したソフトは「Art Dabbler 2.1J」(http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00005OE6R)、写真を取り込んで、それをなぞることによって絵を描くソフトです。これは大人も(ひょっとしてプロも)使うようなソフトなので、未就学児には無理がある*1のですが、科学技術館の「いない、いない、ばぁ」(http://www.jsf.or.jp/exhibit/floor/5/5c/)と比べてみると、何が障害になっているかが分かります。
「団塊〜シニア層向けのWeb設計 やっちゃいけない10のUI」で話題にされていたような高齢者向けUIを考える際のヒントにもなるかも。
標語を並べると:
- ツールバーとツールアイコンだけ
- 全画面にすべし
- シッカリとしたシングルクリックにだけ反応
- 単機能のツールアイコンをフラットに配置
- ダイアログやポップアップウィンドウはできるだけ使わない
- フィードバックは目立つように
- 無限Undo/Redoを備えるべし
以下に詳細。
まず写真の入力。「いない、いない、ばぁ」はカメラのシャッターのメタファーだったと思う(記憶が曖昧)が、「Art Dabbler」はメニューバーの[ファイル]-[TWAIN入力]。こりゃダメだ。これに限らずメニューはまったくダメです。子供が使えるのは、ツールバーとツールアイコンだけと考えたほうがいいでしょう。ツールアイコンは大きく、くっつけすぎず、互いに区別できるようなデザインに。
なまじウィンドウやメニューバーがあると、誤操作して混乱するので全画面にすべし*2。OS(ネィティブ・ウィンドウシステム)のデスクトップも見せちゃダメです。
マウスポインタの通過やホバーに反応してはダメです。何が起こったかわかんないからね。シッカリとしたシングルクリックにだけ反応。ダブルクリックはどうせできません。左右ボタンの区別もできません。
よく指摘されることだけど、モード概念と入れ子操作はホントにダメでした。例えば、ペンなど筆記具の色、消しゴムのモード(完全に消える、少しずつ消えるの別)なんてのは理解できない。色鉛筆箱のメタファーで、色の数だけのペン、完全に消える消しゴムと少しずつ消える消しゴムがそれぞれツールバーに乗っていたほうがわかりやすいでしょう。つまり、単機能のツールアイコンをフラットに配置。
色鉛筆箱から色鉛筆(ペン)を選ぶときだけ、ドロップダウンとかポップアップを使いたくなるでしょうけど、これもダメです。ビックリして途方にくれる。出現したウィンドウをどうすべきかが分からない。「Art Dabbler」は引き出しのメタファーを使っていたのですが、それでも説明が難しかった。ダイアログやポップアップウィンドウはできるだけ使わない。
今現在どの色が選ばれているか? のようなフィードバックは極端なくらいに目立つようにしないと認識しないみたいです。「Art Dabbler」では、アイコンを縁取りしてましたが、もっとパッと見でわかるようにしないとね。潜在的なモードやセレクションがあるなら、そのフィードバックは目立つように、ってこと。
そばに付いている大人の立場からいうと、Undoはものすごく重要です。なにしろ、誤操作を戻せないと泣いちゃうから。無限Undo/Redoを備えるべし。ただし、[編集]-[取り消し]からなんて操作では論外だけど。
お絵描きソフト特有の問題として、ペンとマウスの使い分けがありますが、ペンに付いているボタンを子供はうまく押せないことだけ指摘しておきましょう。