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参照用 記事

「ミンナは間違っている」思考がなぜ生じるのか

一週間前に(悪い意味で)評判になったブログ記事:

ちょっとした火傷だったら、
キッチンのガス等で患部をあぶるっていいですよ。。

これはマズイ。真に受ける人が出たらどうするんだ、と思います。

「火傷はあぶる」の根拠は同種療法という考え方だそうで:

火傷をしたところは
冷やすのではなく
温めることで
早くよくなります



火傷しているところに
熱い蒸気をあてる
ここが同種療法の原理!

どうして、こう考えるのでしょう? ナイフで指を切ったらもうチョイ切り開くとか、頭を強打したらさらにボカスカ叩くとか、食中毒したらアタったものをさらに食べ足してみるとか、同種療法とはそういうものでしょうか。

「火傷はあたためる☆」のなかで、

普通は火傷をすると、すぐに流水等で冷やしますよね。。

と書いているので、多くの人が火傷を冷やすことはご存知の上で、あえて常識の逆を推奨しているわけです。

各種の陰謀論や、「相対性理論は間違ってる」説が後を絶たないので、「ミンナは間違っている」思考をする人は一定数いるようです。大多数の人が過ちを犯していたり、少数派の意見に軍配が上がることは確かにあります。しかしそれは稀です。稀なる事態への警告なら分かるのですが、ほとんど常に「ミンナは間違ってる」と考える常時逆張り思考は理解に苦しみます。

「なんでそんなふうに考えるのだろう」と不思議なんですが、比較的容易に自尊心の満足/自己肯定感を得られるから、かな? と考えます。「多数派であるミンナは間違っている、少数派・異端である私が正しい」と思えば、マイノリティがエリートに一転します。

現代の医学・科学・工学などは、それを正しく理解することは知的にシンドイ作業となります。安直、それゆえに分かりやすい批判(間違っている)を受け入れることは知的ハードルが低いし、「少数派の我々だけが正しいことを知っている」という思いは心地いいのかも知れません。

このテの問題で頭が痛いのは、「常識=既存理論を無批判に信じる輩こそ思考停止している。バカはお前だ」タイプの反論が常に可能だし、「では、多数派である常識=既存理論をチャンと勉強してみては」という説得もほぼ無意味なことです -- それが出来る人なら最初から安直な批判に与しない。暗澹たる気分になります。

「ミンナは間違っている」思考に陥ってしまうと、そこから抜け出すのは難しいだろうと思います。なので、それはもうショーガナイ、諦めましょう。しかし、実害があるような誤情報を流されるのは困ります。誤情報を抑制したり、訂正情報が行き渡る算段は必要でしょう。

「火傷 あたためる」でgoogle検索すると、「火傷はあたためる」を推奨する記事と否定する記事が混じりあっています(検索順位は日々変化するでしょうが)。「火傷はあたためる」を推奨する情報は、検索1ページ目に出て欲しくないな。