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参照用 記事

マイクロコスモ原理と構造の無限タワー

悩みとフラストレーションの種であったマイクロコスモ原理ですが、「無限のタワーを登るんだ」と覚悟を決めたら悩みは軽くなりました。

内容:

[追記]メモ編の「モノイドやモノイド圏の指標 補足解説」に、この記事より若干使いやすそうな記法を説明しています。併せて読むと、構文に関する理解が捗るでしょう。[/追記]

マイクロコスモ原理

マイクロコスモ原理〈microcosm principle〉について最初に書いたのは次の記事; 一年前なので、それほど昔じゃないですね。

2018年に入って、比較的詳しい分析をしています。

マイクロコスモ原理の主張は「ある代数的構造(例:モノイド)を定義するとき、その前に、環境となる圏(例:モノイド圏)を定義しろよ」と解釈できます。これを律儀に守ろうとすると、無限後退(むしろ無限前進か?)を強いられます。いつまでたっても定義が終わんねーじゃねーかよ!

マイクロコスモ原理は、ほんとに頭痛の種。2017年記事のタイトルにある「恐怖」は大げさではなくて、強い不安感を感じます。なかなかスッキリした解決が得られません。

最近、発想を変えてみました。無限後退(あるいは無限前進)に文句を言わないで、「そういうもんだ」と受け入れてみたのです。つまり、「いかにして無限後退を回避するか?」という問は捨てて、「いかにして無限後退をするか?」に切り替えるのです。

そもそもの話; n-圏(n次元の圏)という概念は、いまだに広く合意された定義がありません。定義を求めて努力しているわけです。これは、適当なn(例えば n = 10)で定義する行為を打ち切りたい、という話ではありません。すべてのnに渡って「n-圏とはなんぞや」に答えを出そうとしています。

そうであるなら、nを 0, 1, 2, ... と増やして“次元の階段”を登る行為を「途中でやめたい」という発想は違うのではないか、本来、「無限に登るしかないのではないか」と思い直した、ってことです。

使っている記号の一覧表

後で使う記号の一覧表を先に出しておいたほうがいいような気がします。必要に応じてこの表を参照してください。

名称 n = 1 n = 2 n = 3
k = 0 台対象 U U -
k = 1 恒等射 idU IdU = J -
k = 1 乗法/積 m \otimes = Y × = Y
k = 0, 1 単位(対象・射) i I I
k = 2 結合律子 α α
k = 2 左単位律子 λ λ
k = 2 右単位律子 ρ ρ

横に並んでいる n = 1, 2, 3 は、代数的構造の“次元”を示す整数です。つまり、1次元構造の場合、2次元構造の場合、3次元構造の場合がそれぞれ縦に並びます。ここでいう「次元」は幾何的概念ではなくて、圏論的な次元です。1次元構造は1-圏内に棲息する構造、2次元構造は2-圏内に棲息する構造です。

縦に並んでいる k = 0, 1, 2 は、代数的構造を構成する射の次元です。k = 1 なら1-射ということになります。0-射は圏の対象のことです。空欄は存在しないことを示し*1、ハイフンは明示的な記号を使ってないことを示します。

モノイドの指標とモノイド圏の指標

モノイドの指標を次の形で書きましょう。

signature mon := {
 sort U;
 operation m:U\otimesU→U;
 operation i:I→U;
}

ざっと説明します。

  • 指標〈signature〉とは、代数系を構成する素材を表す記号を列挙した記述です。
  • Uは、モノイドの台対象〈underlying object〉を表す記号です。集合圏で考えるなら、台対象は台集合〈underlying set〉です。集合圏以外の圏でもモノイドは考えられます。
  • mは、モノイドの乗法〈multiplication〉または〈product〉を表す記号です。mはU上の二項演算(を表す記号)です。集合圏で考えるなら、\otimesは直積×の意味で、 m:U\otimesU→U は写像を表すことになります。
  • iは、モノイドの単位〈unit〉を表す記号です。iはUの定数ですが、単位対象Iからのポインティング射(単位射)と捉えます。集合圏で考えるなら、単位対象Iは単元集合で、単位射 i:I→U は単元集合からのポインティング写像を表すことになります。

指標は素材(を表す記号)を記述しているだけです。モノイドの定義には、さらに法則が必要です。法則(律)は等式で書きます。';'は、射の図式順結合(左から右への合成)記号です。

  • 結合律: (m\otimesidU);m = αU,U,U;(idU\otimesm);m : (U\otimesU)\otimesU→U
  • 左単位律: (i\otimesidU);m = λU : I\otimesU→U
  • 右単位律: (idU\otimesi);m = ρU : U\otimesI→U

法則のなかに、自然変換 α, λ, ρ が出てきたことに注目してください。これらの自然変換は、モノイドが定義される環境である圏が構造として備えている(はずの)ものです。

モノイドの指標と法則のなかに登場した記号達 \otimes, I, α, λ, ρ は、モノイドが棲む環境(つまりモノイド圏)を定義する指標から供給されます。環境側の指標がコレ(↓)、モノイド圏の指標ですね。'*'は、関手の図式順結合(左から右への合成)記号です。

signature mon-cat := {
 sort U;
 operation Y = \otimes:U×UU;
 operation I:IU;
 operation J = IdU:UU;
 2-operation α::(Y×J)*Y⇒αU,U,U*(J×Y)*Y:(U×U)×UU;
 2-operation λ::(I×J)*Y⇒λU:I×UU;
 2-operation ρ::(J×I)*Y⇒ρU:U×IU;
}

この指標が、記号 \otimes, I, α, λ, ρ を提供しています。

  • Uは、モノイド圏の台圏を表す記号です。圏は“圏の圏”の対象です。
  • \otimesにYという別名を付けています。そのYは、U上の二項演算(を表す記号)です。つまり、双関手(を表す記号)です。双関手は“圏の圏”の射です。
  • Iは、Uの定数ですが、単位圏(自明圏)Iからのポインティング関手(を表す記号)と捉えます。ポインティング関手も“圏の圏”の射です。
  • 恒等関手IdUにJという別名を付けています。これは表記を簡略化するためです(それ以上の意味はありません)。
  • αは、結合律を表現する自然変換(を表す記号)です。自然変換は、“圏の圏”の2-射です。
  • λは、左単位律を表現する自然変換(を表す記号)です。自然変換は、“圏の圏”の2-射です。
  • ρは、右単位律を表現する自然変換(を表す記号)です。自然変換は、“圏の圏”の2-射です。

モノイド圏の定義にも法則が必要です。マックレーンの五角形法則と三角形法則がモノイド圏が満たすべき法則です。その詳細は省略します(「マイクロコスモ原理と逆帰納ステップ」参照)。

モノイド圏の指標と法則には、次の太字記号が登場しました。

  1. 単位圏を表す I
  2. デカルト積双関手を表す ×
  3. ×に伴う自然変換を表す α, λ, ρ

これら太字の記号は、“圏の圏”が生息している環境である”圏の圏の圏”を定義する指標から提供されるものです。こうして我々は無限後退(あるいは無限前進)の道を歩むことになります。

指標の書き方の整理

高次元の指標も書けるように、指標の書き方を整理します。次元ごとに固有な名前・記号を使うのを出来るだけ避けて、次元を表す番号を使うことにします。その方針でモノイドの指標を書き換えると:

1-signature 1-mon := {
 0-morphism U;
 1-morphism m:U\otimesU→U;
 1-morphism i:I→U;
}

1-指標〈1-signature〉は、1次元までの射の宣言を含みます。2次元以上の射の宣言は入れられません。ただし、1次元の射が(あるいは0次元の射も)なくてもかまいません。1-指標(と法則)で定義される実体(モデル〈model〉と呼ぶ)は、1-圏のなかに棲んでいると考えます。モデルであるモノイド達の、標準的な棲息環境は1-圏Setです。

モノイド圏の指標は次のように書きます。

2-signature 2-mon := {
 0-morphism U;
 1-morphism Y = \otimes:U×UU;
 1-morphism I:IU;
 1-morphism J = IdU:UU;
 2-morphism α::(Y×J)*Y⇒αU,U,U*(J×Y)*Y:(U×U)×UU;
 2-morphism λ::(I×J)*Y⇒λU:I×UU;
 2-morphism ρ::(J×I)*Y⇒ρU:U×IU;
}

モノイド圏は、モノイドを2次元化(圏化)したものと捉えて、2-monという名前を付けています。モノイド圏(2-mon)を定義する指標は2-指標なので、2次元までの射を書けます。実際、α, λ, ρ は2次元の射〈2-射〉です。2-指標(と法則)で定義されるモデルは、2-圏のなかに棲んでいると考えます。モデルであるモノイド圏達の、標準的な棲息環境は2-圏Cat、または必ずしも小さくない圏の2-圏CATです。

さて、「次元ごとに固有な名前・記号を使うのを避ける」と言ったのですが、文字の種類や装飾は、通常の習慣に従って色々使っています。これらも一律にします。一律にすると、次元ごとの違いが判読しにくくなり、分かりにくくなります。しかし、次元ごとに別な文字種/文字装飾を使うことは、「すべての次元を考える」場合にはどうせ無理です。次元によらず、次の記号を使うことにします。

k = 0 台対象  U
k = 1 Uの恒等射  J 
k = 1 乗法/積  Y 
k = 0, 1 単位(対象・射)  I 
k = 2 結合律子  α 
k = 2 左単位律子  λ 
k = 2 右単位律子  ρ 

n-指標には、環境を表す(n+1)-指標から提供される記号が出てきます。1次元高い指標から来る記号は、一律に太字+下線で表すことにします。下線も付けるのは視認性のためです。

今述べたルールで指標と法則を書き換えると次のようになります。

1-signature 1-mon := {
 0-morphism U;
 1-morphism J:U→U;
 1-morphism Y:Y(U, U)→U;
 1-morphism I:I→U;
}

法則は 2-morphism
 2-morphism as:: Y(Y, J);Y = αU,U,U;Y(J, Y);Y : Y(Y, J)→Y(J, Y);
 2-morphism lu:: Y(I, J) = λU : Y(I, U)→U;
 2-morphism ru:: Y(J, I) = ρU : Y(U, I)→U;
2-signature 2-mon := {
 0-morphism U;
 1-morphism J:U→U;
 1-morphism Y:Y(U, U)→U;
 1-morphism I:I→U;
 2-morphism α::Y(Y, J)*Y⇒αU,U,U*Y(J, Y)*Y:Y(Y, J)→Y(J, Y);
 2-morphism λ::Y(I, J)*Y⇒λU:Y(I, U)→U;
 2-morphism ρ::Y(J, I)*Y⇒ρU:Y(U,I)→U;
}

法則は 3-morphism
 省略

1-mon(通常のモノイド)の指標には、環境から提供される記号として、下線付き太字の Y, I, α, λ, ρ が使われています。それらの下線付き太字記号は、2-mon(モノイド圏)の指標における Y, I, α, λ, ρ として定義されるものです。

2-mon(モノイド圏)の指標にも、環境から提供される記号として、下線付き太字の Y, I, α, λ, ρ が使われています。それらの下線付き太字記号は、モノイド圏をホストする2-圏、例えばデカルトとしてのCatにおける Y, I, α, λ, ρ として具体化されます。

最後に、圏の結合記号〈composition symbol〉を統一します。射の結合、関手の結合、自然変換の縦結合、自然変換の横結合などを別な記号(オーバーロードあり)で表していますが、単一の記号'#'にします。その代わり、次元の添字を付けます。'#nk'は、2つのn-射をk次元の境界で貼り合わせる結合です。

通常の記法 統一した記法
射の結合 ; #10 of C
関手の結合 * #10 of CatCAT
自然変換の縦結合 ; #21 of CatCAT
自然変換の横結合 * #20 of CatCAT

ここから先では、統一した記法を使うことにします。

指標の名目次元と実質次元

我々の目的は、無限に続く次元の階段を登り切ることです。1-指標と法則で定義される1-構造(1次元の構造)があり、その1-構造をホストする2-構造(2次元の構造)は2-指標と法則で定義され、その2-構造をホストする3-構造(3次元の構造)は3-指標と法則で定義され、… … … を延々と続けたいわけです。

モノイド構造の例で言えば:

  • 1-signature 1-mon と法則で1-モノイド構造が定義される。
  • 2-signature 2-mon と法則で2-モノイド構造が定義される。
  • 3-signature 3-mon と法則で3-モノイド構造が定義される。
  • … … …

指標の次元が上がるにしたがって、より高い次元の射がどんどん追加され、法則も増えて、構造はどんどん複雑になっていくのではないか -- それが僕には“恐怖”でした。しかし、構造の記述(指標+法則)がどこかで安定化〈stabilize〉すれば、無限に続いていても怖くはないです。安定化とは、次元が上がっても構造の複雑化は起きなくなることです。

安定化のメカニズムを説明するために、指標の名目次元と実質次元という量(整数値)を導入します。具体例として次の指標を考えます。

2-signature 2-1-mon := {
 0-morphism U;
 1-morphism J:U→U;
 1-morphism Y:Y(U, U)→U;
 1-morphism I:I→U;
}

法則は 2-morphism
 2-morphism as:: Y(Y, J)#10Y = αU,U,U#10(Y(J, Y)#10Y) : Y(U, U)→U;
 2-morphism lu:: Y(I, J) = λU : Y(I, U)→U;
 2-morphism ru:: Y(J, I) = ρU : Y(U, I)→U;

これは、先に出した1-指標の定義をほぼそのままコピーしたものです。前節の約束に従って、';' → '#10' としてますが、それ以外で変更した所は、

  • 1-signature 1-mon → 2-signature 2-1-mon

これだけ。中身を一切変えずに、「これは2-指標だぞ」と言い張るだけです。2-指標に2-射を要求するわけではないので、「2-指標だぞ」と言っても責められることはありません。このような場合、指標の名目次元が2、実質次元が1だと言います。

  • 名目次元〈formal dimension〉: 指標の先頭にある次元宣言に書かれた値
  • 実質次元〈actual dimension〉: 指標に登場する射の最高次元

指標の名目次元がnであるとは、その指標に出現する記号をn-圏で解釈するという指示です。実質次元mは、実際に使う射の最高次元です。m ≦ n は必須ですが、m = n は要求しません。

例に挙げた指標は、もともとは1-指標であったモノイドの指標の名目次元を2にしたものです。モノイドの指標は1-圏(例えばSet)で解釈するものですが、2-圏(例えばCat)でも解釈できます。よって、2-signature 2-1-mon は、解釈の場が2-圏であるようなモノイド対象の指標です。具体的には、完全にストリクト*2な(小さな)モノイド圏は、2-指標2-1-mon(と法則)の2-圏Catにおけるモデルになります。

一般に、n-圏Kがあるとき、Kから、mを超える次元の射を削り落としたm-圏をK[m]と書くことにします。実質次元がmであるn-指標(と法則)は、n-圏Kを次元mで切り捨てた〈truncated〉K[m]で解釈可能です。この切り捨て〈truncation〉は、神ならぬ我々にとっては極めて重要です。高次射が把握できなくても、把握可能な次元(例えば2次元)まで見ればいいことになるからです。

安定した指標

お気付きの方もいると思いますが、2-signature 2-1-mon の法則の部分を指標内部に入れて、わずかに変更すると、それは 2-signature 2-mon と同じになります。

2-signature 2-mon := {
 0-morphism U;
 1-morphism J:U→U;
 1-morphism Y:Y(U, U)→U;
 1-morphism I:I→U;
 2-morphism α:: Y(Y, J)#10Y ⇒ αU,U,U#10(Y(J, Y)#10Y) : Y(U, U)→U;
 2-morphism λ:: Y(I, J) ⇒ λU : Y(I, U)→U;
 2-morphism ρ:: Y(J, I) ⇒ ρU : Y(U, I)→U;
}

一般的な n-signature n-mon を考えて、n = 1, n = 2 で解釈を変えるだけです。標準的な解釈を表にしてみます。

n = 1 n = 2
解釈の場 集合圏 Set 圏の圏 Cat
#10 写像の結合 関手の結合
U 台集合 台圏(小さい)
J Uの恒等写像 Uの恒等関手
Y 集合の直積 圏の直積
I 単位ポインティング写像 単位ポインティング関手
α 結合律(等式) 結合律子(自然変換)
λ 左単位律(等式) 左単位律子(自然変換)
ρ 右単位律(等式) 右単位律子(自然変換)

2-signature 2-mon を構成する2-射(自然変換)である律子(律子に関しては「律子からカタストロフへ」を参照)を、特に恒等自然変換に固定すると、それは(法則も含めた)モノイドの記述になります。

「1-signature 1-mon → 2-signature 2-1-mon → 2-sinature 2-mon」という指標の構成・変更と同じ手順で、「2-signature 2-mon → 3-signature 3-2-mon → 3-sinature 3-mon」とすると、3-モノイド構造の3-指標が得られます。その3-指標の標準的な解釈の場、つまり3-モノイド構造(モデル)の棲息地は、例えば小さなストリクト2圏を対象とする3-圏s2-Catでしょう。

3-sinature 3-mon とそのモデルについて今詳しくは述べませんが、特筆すべきは、同様な手順で次元を上げて 4-mon, 5-mon, … を作っても形が変わらないことです。指標のなかに、その指標では定義できない下線付き太字記号が残り続けますが、記号の個数は増えません。次元が上がっても、同じ景色がずっと見え続けるような状況になるわけです。

モノイドの定義が無限に先送りされる状況ではありますが、無限に複雑さが増えるわけではありません。必要な射や法則が増えるのも頭打ちになり、構造は変わらず次元のみが淡々と増えるだけ。「マイクロコスモ原理と逆帰納ステップ」で述べた逆帰納ステップは止まりませんが、安定はするのです。

構造の無限タワーと安定化

安定した指標は、自分自身に依存する、あるいは自分自身に立ち戻ってくるので、循環的定義〈{cyclic | loop} definition〉になっています。循環を線形に展開すれば無限タワー〈stabilized infinite tower〉になります。

*3

通常の再帰帰納とは違い、n = 0 に基礎があるのではなくて、無限の彼方に基礎があります。あるいは、無限の彼方に向かって歩み続ける行為そのものが基礎なのかも知れません。

マイクロコスモ原理と逆帰納ステップ」で次のように書きました:

どうもスッキリとは解決できないんです。仏教に帰依しようか … なんてね。
...[snip]...
大乗仏教中観派と一般モデル理論」で紹介したダイアコネスクは、中観派〈ちゅうがんは〉思想に傾倒している様子でしたが、確固たる基礎が望めないような階層的世界の解釈には仏教が相性がいいのかも知れません。でも、僕の仏教との接点は法事とお墓参りくらい、ですね。

よく知らん仏教を引き合いに出すのはイカガナモノカだけど、「確固たる基礎が望めないような階層的世界」においては、「階層のどかで止まる」という発想は好ましくないようです。今は、次のように考えています。

  1. 構造は、無限のタワーとして定義される。
  2. 我々は、安定する無限タワーしか具体的に扱えない。
  3. 無限タワーの作り方は物凄い多様性を持つ。

これまで事例に出したのは、n-mon (n = 1, 2, 3, ... )だったのですが、他の無限タワーの例も見つけたいですね。色々な例を見ないと実情が把握できませんから。

とりあえず、安定する無限タワーという概念により、マイクロコスモ原理に対する恐怖感はだいぶ薄らいだ、とは言えます。

*1:等式的な法則も射と解釈すれば存在します。

*2:"strict"は「厳密」ではなくて、カタカナで「ストリクト」と書くことにします。

*3:元記事: http://765.blogspot.com/2007/06/infinite-in-every-direction.html
画像: https://www.flickr.com/photos/sevensixfive/218194699/