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参照用 記事

圏論勉強会

日曜日(2007-06-20)、パートタイム参加しました。いくかの感想。

その1:テキスト

"Categories, Types and Structures"は、ツッコミどころありのなんか変な本だけど、勉強会のテキストとしてはいいと思います。独学には向かない!

その2:大文字シグマ

あのとき口には出さなかったのだけど、「あっ、それ面白い」と思ったことがありました。

Σ(大文字シグマ)を指標(正確には、多ソート代数の指標;signature of many-sorted (universal) algebra)だとして、Σ代数を考えましょう、という話で、Kさんが「オートマトンのアルファベットもΣ(大文字シグマ)で表しますよね」という指摘。いい勘している! 単に習慣だとはいいながら、“Σつながり”偶然ではありません。

オートマトンのアルファベットも特殊な(というか退化した)指標です。なので、アルファベットΣのオートマトンは、若干の細工により指標Σの代数とみなせます。ですが、オートマトンを多ソート代数だけで定義する例は見たことない(実際はあるのでしょうが)ので、やってみると面白いと思った。

その3:反対概念

普遍性で定義した概念(特別な対象とか射とか)を反対/双対(opposite/dual)にすると反対/双対概念が得られます。が、これを納得するのは意外に難しいような。その概念を露骨(explicit)に論理式で書いてみて、機械的に矢印を逆にするのをやってみるのがいいと思った。

例えば、xがaとbの直積(p, qが射影)であることは:


Prod(x, p, q, a, b)≡
∀f:y→a, g:y→b.∃!u:y→x.(u;p = f ∧ u:q = g)
なので、矢印をひっくり返し、気分の問題でpをi, qをjにすると:

∀f:a→y, g:b→y.∃!u:x→y.(i;u = f ∧ j;u = g)
これが、Prodの反対=余直積=直和の定義。

実は、Prodの定義はかなり省略していて、変数の型を明示して等式で丁寧に書けば:


Prod(x:Obj, p:Mor, q:Mor, a:Obj, b:Obj)≡
(dom(p) = x ∧ cod(p) = a)∧(dom(q) = x ∧ cod(q) = b)

∀y:Obj.∀f:Mor.∀g:Mor.[(dom(f) = y ∧ dom(f) = a)∧(dom(g) = y ∧ cod(g) = b)
⊃ ∃!u:Mor.[(dom(u) = y ∧ cod(u) = x )∧(u;p = f ∧ u:q = g)]]
ニョエーッ。ながっ。
反対(双対)にするには、dom←→codと入れ替えます。

[追記]上のような式を書くと、はてな記法とバッティングして苦労する。まず、「g:Mor」と書くと、Morグループへの参照になってしまう。閉じブラケット2つ「]]」はなぜか消えてしまう(今気が付いて直した)。もちろん、「((」は要注意だし。スーパーpre記法を使えば解釈されないのだろうけど、class属性を付けられないしなー。[/追記]