イタリア料理店での話。僕の隣の席は、男女のカップルだった。女性は二十ニ、三、男性は二十六、七くらいか。
男性のほうが早く食べ終わってしまい、女性はまだ食べている。そこで男性はiPhoneを取り出しまして。液晶を見つめながら指でスリスリといじり回しているわけだ。オイッ、青年、止めたほうがいいぞ、と僕は思ったけどもちろん口に出したわけじゃない。
女性のほうが、青年をチラチラ見てる。気が付かないのかなー、彼は。
チラチラ見てるその目が、哀しいような切ないような、怨むような、責めるような、、、そして、、、あー、もうこれは怒っている。怒っている目だ。
だが、彼は気付かない。液晶を見つめながらまだ指でスリスリといじり回している。怒っている目は、あきれている目に変わったようだ。
