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参照用 記事

絵算の描画方向を示すために旗を使うことにした

僕が「お絵描き圏論」とか言い出したのは2005年初頭なので、12年(=干支の一回り)もたってしまいました。その当時はまとまったお絵描きテキストもなかったのですが、最近だとマースデンの解説もあるし、描画と証明を支援するソフトウェアGlobularもあります。

しかしながら、「絵算(ストリング図)における池袋駅問題の真相」で指摘したような問題があります。絵の描き方、特に方向の取り方は人によりバラバラなんです。

地図では、北が上で東が右と決まっています。もしこの決まりがなくて、地図ごとに方向の取り方がバラバラだったら、随分と不便だと思いませんか。現状のストリング図の状況は、北をどちらにするかが決まってなくて地図が流通しているようなもんです。当面、方向の取り方を統一するのは無理です。

地図の方向の取り方がバラバラでも、北を示す方位磁針の印が描いてあれば、混乱は少なくなるでしょう。そこで、モノイド圏や2-圏のストリング図の方向の取り方を示すために、次のような旗の絵を使うことにします。

地面から空に向かって棒が立っていて、三角旗が風の方向になびいている絵です。棒が示す地面から空の方向が射の結合(composition)の方向を示し、三角旗で示される風の方向がモノイド積(や横結合)の方向を示します。まとめると:

  1. 地面をアース記号(二本棒)で表す。
  2. 地面から棒が立っている方向が結合方向
  3. 三角の旗の尖っている方向がモノイド積方向

f:A→B、g:B→C、u:X→Y として、(f;g)\otimesu を、方向の取り方を変えて描いてみます。

これらの方向の取り方には実際に使用者がいます。

方向 使用者
→↑ セリンガー、長谷川
→↓ ガーナー/シュルマン
↓→ キュリア 、バエズ/ステイ 、ラフォン
↑← ウィラートン
↑→ ストリート、クック、メリス、マースデン

今回、事例にラフォン(Yves Lafont)とガーナー/シュルマン(Richard Garner, Michael Shulman)を追加しました。絵が載っている論文は次です:

ガーナー/シュルマンの図:

プリントアウトした論文の絵の脇に、旗記号を書き込んでおくだけで、混乱して考え込む時間が減りました。