『ルンペン学入門』と『山谷崖っぷち日記』には、己の境遇への諦念と受容が見うけられるのですが、『ホームレス作家』の松井さんは、路上生活を、そこから抜け出すべきものと捉えていたようです。
一見してホームレスとわかるような風体や臭いを、松井さんは拒否し続けます。この意志力はどこから来るのだろう?と感じましたね。
後で松井さんは『ホームレス失格』という本も出しましたが、ホームレスになり切れなかったのは確かなようです。松井さんは、「人生(少なくとも通常の社会生活)を降りてしまう」のとは対極的な態度で路上生活をおくっていたのでしょう。
(続く)