hirataraさんからのトラックバックをたどってみたら、しりとりの圏の射(ひらがな文字列)が、「モノ射かつエピ射でも同型(アイソ)射にはならない」例*1を提供するよ、という内容でした。Kuwataさん、たけをさん、ジョニーも話題にしています。
確かにしりとりの圏は表題の事例を提供しますが、できるだけ簡単な例が欲しいなら、・→・ という形の圏が例を与えます。左の点(対象)をa, 右の点をb、矢印(射)をfとし、この圏をCとします。
- Cの対象の集合 = {a, b}
- Cの射の集合 = {a, f, b}
- id(a) = a, id(b) = b (面倒だから、対象と恒等射は同一にした)
- dom(a) = cod(a) = a, dom(b) = cod(b) = b, dom(f) = a, cod(f) = b
- 結合(合成)「;」は見たマンマ: a;a = a, a;f = f, f;b = f, b;b = b
- これでもチャーンと圏になっていることを確認してね
圏Cの射fがモニックであることは、
- Cの任意の射 g, h:x→a に対して g;f = h;f ならば g = h 。
ということですが、「任意の」と言ってみても、そういうg, hは a:a→a(恒等射)しかないので、
- a;f = a;f ならば a = a
が成立していればいいわけですが、これは強烈に当たり前(成立しているに決まってるミソ)。よって、fはモニック(モノ射)。同様にしてfはエピック(エピ射)。
fが同型(アイソ)であるためには、b→a なる射が必要ですが、そもそもそんな射はないのでfは同型ではありえないミソ。
以上から、この圏Cのこの射fは「エピかつモノだがアイソではない」例ですね。
ところで、hirataraさんの「層・圏・トポス P53の定理3」で、スライドを使って詳細な証明を提示していましたが、「なるほどなー」と感心しました。同じ位置に図があると、パラパラ・マンガ式の簡易アニメーションになるので、とても効果的ですね。