申し込み状況はいつものように一晩過ぎて10人程度ですが、初めての人が一人もいない、ガーン。雑談でお茶を濁さないで、もう少し予定、心づもりを述べて宣伝します(これが宣伝になるかどうか疑問だが)。
モニャドセミナー1回目の反省とそれに基づいた2回目予定は「技術者/プログラマのためのモナドと圏論:ウームと考え込んだ結果は」に既に書いており、考えはあまり変わっていません。ここでは、「考え込んだ結果」よりは“気分/気持ち”に寄った話をします。
hiroki_fさんが http://d.hatena.ne.jp/hiroki_f/20090424/1240576020 で次のように書いています。
圏論ってシンプルすぎて、最初勉強し始めた時は余計なことを考えてしまうんですよね。
これは何?と聞いても、それを考えることに意味はないみたいに言われると、
??
となるんです。
まさにそのとおりで、定義(公理)にない余計なことまで前提/想定して混乱するケースが多いように見受けられます。何か特定の圏に対して「この圏の対象はなにか?」とか「この圏の射はなにか?」という質問は意味があります。しかし、圏の一般論においては「対象とはなにか?」「射とはなにか?」という質問には答えようがありません。強いて答えるなら「なんだってかまわない」となります。この「なんだってかまわない」ということを納得するのは随分と難しいようです。
シンプルで抽象的な定義だけに基づいて考えれば誤解も混乱もないはずですが、そんなことができるはずはありません(異常な天才とかは別として)。みんな、何か特定のイメージに頼り拘ってしまうんですよね。僕はこれは自然なことだと思います。イヌやネコ(種としてのイヌやネコじゃなくて、個体としてのイヌ、ネコ)をまったく知らない人に、哺乳類の概念を教えても納得できるわけないでしょ。また、イヌやネコを通じて哺乳類概念を獲得していても、イルカやカモノハシが哺乳類だと聞かされると(最初は)驚きます。
というわけで、「哺乳類とはなんたるか」とか言う前に、イヌやネコ、それもイヌ一般やネコ一般ではなくて、「ここにいるポチ」や「そこのタマ」と遊んでもらうしかないだろう、と思うのです。僕としては「ここにいるポチ」のつもりで第1回モニャドセミナーで出した「しりとりの圏」が、意外にも「なんなのこれ?」みたいな反応で「えっ?」という気分もしたのですが、その後「しりとりの圏」には慣れていただいたようで(ポチがみんなに撫でててもらえたように)ホッとしてます。
引き続き、ほとんど予備知識なしでも紙と鉛筆さえあればいじれる例を時間が許す限りたくさん出そうと予定しています。典型的な少数の例だと、やっぱりその例に頼り拘ることになり、結局は一般的な概念を獲得するに至らないのじゃないかと思います。イルカ(海に住んでいて体毛がない)やカモノハシ(卵をうむ*1)も知ったほうが哺乳類概念を正しく理解できるのと同じようなことです(多少、比喩が過ぎるが)。
当初の予定は、第2回後半からはモナドを導入するつもりでしたが、それはやめて、第2回はひたすら圏の具体例で遊ぶ方針。全3回の予定を維持するのもどうも困難で、全4回でしょうかね。第2回からの参加もOKです、お申し込み手順はコチラ。
*1:個人的には、哺乳類だけど卵をうむなんて、いまだに納得できません。カモノハシ、おかしいだろ。