超フィルターと確率測度、この類似性がどうも引っかかる、気になるんですよね。この類似性の背後に何かあるんじゃないか、という感じ。で、チョコチョコと探ってみようかな、と。
「何故にあえて確率を学ぶのか?」では、「集合圏 : 関係圏 = 可測集合の圏 : 確率関係の圏」という対応関係(比例式?)が成り立つのではないか、と述べました。この対応では、共変のベキ集合モナドに対してジリィ・モナド(Giry monad)が対応します。
これとはちょっと別の(最終的には同じかもしれない)類似性もあります。それは、論理と確率のあいだの関係です。中間に集合の話を入れると、比較的に分かりやすいと思います。表にまとめます。
論理 | 集合 | 確率 |
---|---|---|
論理式 | 部分集合 | 可測集合 |
リンデンバウム代数 | ベキ集合代数 | σ代数 |
真偽割り当て | 超フィルター | 確率測度 |
埋め込みと射影 | 写像 | 可測写像 |
存在限量子 | 合併 | 積分 |
このなかで注目すべきは存在限量子で、これは命題論理と述語論理を繋ぐものです。射影に対する随伴としての定式化もできます。また、存在限量子と全称限量子というペアが存在しますが、これも随伴の枠組で説明できます。
となると、積分の周辺にもなにか随伴が潜んでいるのでしょうか? 超フィルターモナドを生成する随伴は位相的に構成できますが、ジリィ・モナドに対応する随伴はどういうものでしょう?
論理にはモデル論(「コンパクト空間と論理/モデル論」参照)、さらにはインスティチューション(抽象モデル論)がありますが、確率におけるインスティチューションとはなんでしょうか? それは確率遷移系の仕様記述に使えるでしょうか(「仕様技術への道 -- インスティチューションを縮めてみる」参照)。
疑問符を並べただけですね。締まりがないけど、今日はコレダケ。