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参照用 記事

関手の表現可能性と、要素の圏の終対象・始対象

最近(2023-06)の記事「双線形写像集合関手の表現可能性とテンソル積の普遍性」において、2つの有限次元ベクトル空間 $`A, B`$ からの双線形写像集合を対応させる共変関手 $`T_{A, B}(\text{-})`$ の表現対象がテンソル積空間 $`A\otimes B`$ になる、という話をしました。

だいぶ昔(2016-08)の記事「テンソル積の作り方」では、2つのベクトル空間(2016記事では有限次元性は仮定してないですね) $`A, B`$ から作った“とある圏 $`M_2[A, B]`$”の始対象としてテンソル積空間を特徴付けています。

どちらの方法でもベクトル空間のテンソル積空間を定義できます。ということは、関手の表現対象と“とある圏”の始対象(双対的に終対象)は同一の概念なんだろう、と見当が付きます。確認してみます。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}}
%\newcommand{\Imp}{ \Rightarrow }
\newcommand{\For}{\text{For }}
\newcommand{\In}{ \text{ in } }
\newcommand{\On}{ \text{ on } }
\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}}
\newcommand{\id}{\mathrm{id}}
\newcommand{\hyp}{\text{-}}
\newcommand{\Iff}{\Leftrightarrow}
\newcommand{\op}{\mathrm{op}}
`$

内容:

米田関連の記法

米田埋め込みの書き方(色々ありすぎ)」で述べたように、米田埋め込み/米田の補題に関連する記法は色々あるので、どれを使うか決めておきます。

米田埋め込みは米田の「よ」を使いますが、「双線形写像集合関手の表現可能性とテンソル積の普遍性」と同様に、ロージエン〈Fosco Loregian〉とロマン〈Mario Román〉の記法の折衷案にします。

ハイフン記法 「よ」記法
$`\cat{C}(\hyp, B)`$ $`{^\cat{C}よ}^B`$
$`\cat{C}(A, \hyp)`$ $`{^\cat{C}よ}^\vee_A`$

米田の補題の同型を与える米田写像〈Yoneda map〉は太字のyで書きます。「よ」記法と同様に、共変バージョンには右肩に $`\vee`$ を付けて区別することにします。

反変バージョン、共変バージョンの米田の補題を、添字として情報を埋め込んだ表現で書けば次のようになります。

$`\quad {^G {\bf y}}^B : [\cat{C}^\op, {\bf Set}]({^\cat{C} よ}^B, G) \overset{\cong}{\to} G(B) \In {\bf Set}\\
\quad {^F {\bf y}}^\vee_A : [\cat{C}, {\bf Set}]({^\cat{C} よ}^\vee_A, F) \overset{\cong}{\to} F(A) \In {\bf Set}
`$

だいぶ鬱陶しいので、添字は適宜省略します。例えば:

$`\quad {\bf y} : \mrm{Nat}(よ^B, G) \to G(B) \In {\bf Set}`$

$`\mrm{Nat}(\hyp, \hyp)`$ は自然変換の集合で、関手圏のホムセットのことです。米田写像は可逆なので、逆写像があります。

$`\quad {\bf y}^{-1} : G(B) \to \mrm{Nat}(よ^B, G) \In {\bf Set}`$

米田写像と逆米田写像は具体的に表示できます。$`{\bf y}^{-1}`$ の表示は、依存ラムダ式で、外側の引数 $`X`$ に依存して、内側の型付きラムダ式のも変化します。

$`\For \beta \in \mrm{Nat}(よ^B, G)\\
\quad {\bf y}(\beta) := \beta_B(\id_B)\\
\:\\
\For b \in G(B)\\
\quad {\bf y}^{-1}(b) := \lambda\, X\in |\cat{C}|. \lambda\,u\in \cat{C}(X, B).G(u)(b)
`$

前層の表現ペアと表現ペアその2

これから述べる内容は、反変バージョンと共変バージョンがありますが、反変バージョンについて述べます。共変バージョンは形式的に双対をとるだけです。

双線形写像集合関手の表現可能性とテンソル積の普遍性」の復習をしましょう; $`F`$ を $`\cat{C}`$ 上の前層(集合圏に値をとる反変関手)とします。前層が表現可能〈representable〉とは、次の同型(関手圏のなかでの同型)が成立することでした。

$`\text{For some }A \in |\cat{C}|\\
\quad よ^A \cong F \In \cat{C}^\wedge = [\cat{C}^\op , {\bf Set}]`$

対象 $`A`$ は、前層 $`F`$ の表現対象〈representing object〉です。上記の同型を与える自然同型〈可逆自然変換〉を $`\varphi`$ として、ペア $`(A, \varphi)`$ が、前層 $`F`$ の表現ペア〈representing pair〉です。次の書き方をして、「前層 $`F`$ は、表現ペア $`\mrm{Repr}(A, \varphi)`$ で表現される」と言うことにします。

$`\quad F \sim \mrm{Repr}(A, \varphi)`$

米田の補題から、$`\mrm{Nat}(よ^A, F) \cong F(A)`$ なので、自然同型(普遍性〈universality〉と呼ぶのでした)$`\varphi`$ に対応する要素 $`a\in F(A)`$ が決まります(この要素は普遍元〈universal object〉でした)。普遍性(と呼ばれる自然同型)の代わりに普遍元を使っても同じことなので、$`(A, a)`$ も表現ペアです。ただし、区別はしないと混乱するので次の書き方をします。

$`\quad F \sim \mrm{Repr2}(A, a)`$

$`\mrm{Repr2}(A, a)`$ は、$`F`$ の表現ペアその2〈representing pair of second type〉とします。

逆米田写像の具体的な表示(前節)を使うと、普遍元 $`a`$ から普遍性を再現できます。普遍性(と呼ばれる自然同型) $`\varphi`$ の$`X`$-成分は次の表示を持ちます。

$`\varphi_X : \cat{C}(X, A) \overset{\cong}{\to} F(X) \In {\bf Set}\\
\For u \in \cat{C}(X, A)\\
\quad \varphi_X(u) = F(u)(a)
`$

前層の要素の圏

前節同様、$`F`$ は前層とします。前層から“とある圏”を作れます。ベクトル空間のテンソル積の事例では、その“とある圏”が $`M_2[A, B]`$ だったのです。“とある圏”は、(前層の)要素の圏category of elements〉といいます。

前層の要素の圏は、インデックス付き圏のグロタンディーク構成〈Grothendieck construction for indexed category〉の特殊ケースです。前層 $`F`$ の要素の圏を $`\mrm{El}(F)`$ と書きます。圏 $`\mrm{El}(F)`$ の対象の集合は、次の集合論的シグマ型で与えます。

$`\quad |\mrm{El}(F)| := \sum_{X\in |\cat{C}|} F(X)`$

要するに、$`F(X)`$ 達をすべて寄せ集めた集合です。ただし、$`z \in F(X)\cap F(Y)`$ のときでも、「$`F(X)`$ の要素としての $`z`$」と「$`F(Y)`$ の要素としての $`z`$」は別物として扱います。したがって、$`|\mrm{El}(F)|`$ の要素は、$`(X, x) \text{ where }x\in F(X)`$ の形(依存ペア)で書けます。依存ペアの第一成分は、第二成分の親集合($`x\in X`$)ではなくて、単なる識別タグなので注意してください。

2つの対象 $`(X, x), (Y, y)\in |\mrm{El}(F)|`$ のあいだの射は、3つ組 $`(x, f, y)`$ で、次の条件を満たすものです。

  1. $`x\in F(X)`$
  2. $`y\in F(Y)`$
  3. $`f:X \to Y \In \cat{C}`$
  4. $`x = F(f)(y) \On F(X)`$

これは、集合を離散圏とみなした場合のグロタンディーク構成です。グロタンディーク構成については、例えば次の(ふっるーい)記事を参照してください。

要素の圏 $`\mrm{El}(F)`$ をグロタンディーク構成の一般的な記法(「グロタンディーク構成と積分記号」参照)で書くと:

$`\quad \mrm{El}(F) = \int_\cat{C} F = \int_\cat{C} F(\hyp)`$

今は前層の話をしてますが、余前層(集合圏に値をとる共変関手)に関しても同様な議論はできます。$`F'`$ が余前層のときも同じ記号 $`\mrm{El}(F')`$ を使いますが、余インデックス付き圏のグロタンディーク構成になるので、次の書き方になります。

$`\quad \mrm{El}(F') = \int^\cat{C} F = \int^\cat{C} F(\hyp)`$

グロタンディーク構成と積分記号」で述べている4種類のグロタンディーク構成は、すべて実際に使うものです。

なお、積分記号がエンド/コエンドと同じですが、文脈で判断してください。僕は、エンド/コエンドに積分記号を避けて、 $`\overline{\prod}_\cat{C}, \underline{\sum}^\cat{C}`$ を使うことが多いです。

前層の要素の圏の終対象

前層 $`F:\cat{C}^\op \to {\bf Set}\In {\bf CAT}`$ があれば、その要素の圏 $`\mrm{El}(F)`$ は必ず作れます。が、要素の圏に終対象があるかどうかはわかりません。もし、終対象 $`(T, t) \in |\mrm{El}(F)|`$ があれば、$`(T, t)`$ は、何かしら $`F`$ に関する情報を担っているモノです。

実は、$`(T, t)`$ は、$`F`$ の表現ペアその2になります。

$`\quad F \sim \mrm{Repr2}(T, t)`$

逆に、$`F`$ の表現ペアその2は、要素の圏の終対象になります。

このことは、ベクトル空間のテンソル積の事例などから、なんとなく「そうなるのだろう」とは思っていましたが、僕はちゃんと分かってませんでした。

一般に、圏 $`\cat{C}`$ の終対象の集合を $`\mrm{Terminal}(\cat{C})`$ と書くことにします。例えば、$`\mrm{Terminal}({\bf Set})`$ は、すべての単元集合からなる(小さくない)集合です。終対象を持たない圏(例えば離散圏)では $`\mrm{Terminal}(\cat{C}) = \emptyset`$ です。

すぐ上に述べたことは、次のように書けます。

$`\For F \in \cat{C}^\wedge = [\cat{C}^\op, {\bf Set}]\\
\quad (T, t)\in \mrm{Terminal}(\mrm{El}(F)) \Iff F \sim \mrm{Repr2}(T, t)`$

余前層に関してなら、双対的な命題になります。

$`\For F' \in \cat{C}^\vee = [\cat{C}, {\bf Set}]\\
\quad (I, i)\in \mrm{Initial}(\mrm{El}(F')) \Iff F' \sim \mrm{Repr2}(I, i)`$

終対象から表現ペア

前層 $`F`$ の要素の圏 $`\mrm{El}(F)`$ に終対象が在って、

$`\quad (T, t) \in \mrm{Terminal}( \mrm{El}(F) )`$

だとします。このとき、$`(T, t)`$ が $`F`$ の表現ペアその2になっていることを示しましょう。

まず、自然同型 $`\varphi : よ^T \to F\In \cat{C}^\wedge`$ を作ります。対象 $`X \in |\cat{C}|`$ ごとの成分は、

$`\quad \varphi_X : よ^T(X) \to F(X) \In {\bf Set}`$

これは次のように定義します。

$`\For f \in よ^T(X) = \cat{C}(X, T)\\
\quad \varphi_X(f) := F(f)(t) \in F(X)
`$

こう定義した $`\varphi_X`$ は同型〈可逆〉である必要があります。逆写像(のもと)は次のように定義できます。

$`\For x \in F(X) \\
\quad \psi_X(x) := (!_{(X, x)} : (X, x) \to (T, t) \In \mrm{El}(F))
`$

$`!_{(X, x)}`$ は、要素の圏 $`\mrm{El}(F)`$ における終射(終対象への唯一の射)です。要素の圏の射の定義から、$`!_{(X, x)}`$ は $`F(f)(t) = x`$ である射 $`f:X \to T`$ を決めます。この $`f`$ を値として取り直せば:

$`\For x \in F(X) \\
\quad \psi_X(x) \in \cat{C}(X, T)
`$

$`\varphi_X`$ と $`\psi_X`$ が互いに逆であることは次の命題です。

$`\For f \in \cat{C}(X, T)\\
\quad \psi_X(\varphi_X(f)) = f\\
\:\\
\For x \in F(X) \\
\quad \varphi_X(\psi_X(x)) = x
`$

これらは、$`\varphi_X`$ と $`\psi_X`$ の定義をじっと眺めればすぐ分かるでしょう。

したがって、$`\varphi_X`$ は対象 $`X`$ ごとに同型写像を割り当てます。自然変換であるためには、次の図式の可換性が要求されます。

$`\require{AMScd}
\For f:X \to Y \In \cat{C}\\
\begin{CD}
\cat{C}(Y, T) @>{\varphi_Y}>> F(Y) \\
@V{\cat{C}(f, T)}VV @VV{F(f)}V\\
\cat{C}(X, T) @>{\varphi_X}>> F(X)
\end{CD}\\
\text{commutative in }{\bf Set}
`$

$`v \in \cat{C}(Y, T)`$ を取って、時計回りと反時計回りで実際に計算してみます。

$`\quad F(f)(\varphi_Y(v)) \\
= F(f)(F(v)(t))\\
= (F(f)\circ F(v))(t)\\
= F(f \circ v)(t)
`$

$`\quad \varphi_X(\cat{C}(f, T)(v))\\
= \varphi_X( v \circ f )\\
= F(v \circ f) (t)
`$

これで図式の可換性、つまり、 $`\varphi`$ の自然性が示せました。

$`\varphi`$ は、各成分ごとに可逆写像である自然変換なので自然同型です。つまり、次が言えます。

$`\quad \varphi : よ^T \overset{\cong}{\to} F \In \cat{C}^\wedge`$

言い方を変えれば:

$`\quad F \sim \mrm{Repr}(T, \varphi)`$

米田写像を使って普遍元を計算しましょう。

$`\quad {\bf y}(\varphi)\\
= \varphi_T(\id_T)\\
= F(\id_T)(t)\\
= \id_{F(T)}(t)\\
= t
`$

自然同型 $`\varphi`$ に対応する普遍元は $`t`$ なので:

$`\quad F \sim \mrm{Repr2}(T, t)`$

表現ペアから終対象

前層 $`F`$ は、$`F`$ の表現ペアその2 $`(T, t)`$ によって表現されるとします。対応する表現ペア $`(T, \varphi)`$ によっても表現されます。

$`\quad F \sim \mrm{Repr2}(T, t)\\
\quad F \sim \mrm{Repr}(T, \varphi)\\
\quad t = \varphi_T(\id_T)
`$

このとき、$`(T, t)`$ が $`F`$ の要素の圏 $`\mrm{El}(F)`$ の終対象になっていることを示しましょう。

要素の圏 $`\mrm{El}(F)`$ の任意の対象 $`(X, x)\in |\mrm{El}(F)|`$ を選びます。ここで:

$`\quad X \in |\cat{C}|\\
\quad x\in F(X)`$

仮定から、$`\varphi: よ^T \overset{\cong}{\to} F\In \cat{C}^\wedge`$ があるので、次の写像が存在します。

$`\quad {\varphi_X}^{-1} : F(X) \to よ^T(X) \In {\bf Set}`$

これを使って、

$`\quad f := {\varphi_X}^{-1}(x) \in \cat{C}(X, T)`$

と定義します。この定義から:

$`\quad \varphi_X(f) = x`$

あるいは、次のようにも書けます。

$`\quad \cat{C}(X, T)\ni f \overset{\varphi_X}{\longleftrightarrow} x \in F(X)`$

先走って言えば、今定義した $`f`$ を使った3つ組 $`(x, f, t)`$ は、要素の圏の射

$`\quad (x, f, t) : (X, x) \to (T, t) \In \mrm{El}(F)`$

になります。$`(x, f, t)`$ が要素の圏の射であるためには、次が必要でした。

$`\quad F(f)(t) = x \On F(X)`$

この等式を示しましょう。

$`\varphi`$ が自然変換であることから、$`f:X \to T \In \cat{C}`$ に対して次の可換図式が存在します。

$`\begin{CD}
\cat{C}(T, T) @>{\varphi_T}>> F(T) \\
@V{\cat{C}(f, T)}VV @VV{F(f)}V \\
\cat{C}(X, T) @>{\varphi_X}>> F(X)
\end{CD}\\
\text{commutative in }{\bf Set}
`$

$`\id_T \in \cat{C}(T, T)`$ を取って、時計回り/反時計回りに計算した結果は一致するので、

$`\quad F(f)(\varphi_T(\id_T) ) = \varphi_X(\cat{C}(f, T)(\id_T)) \On F(X)`$

$`\varphi_T(\id_T) = t`$ 、 $`\cat{C}(f, T)(\id_T) = f`$ なので、

$`\quad F(f)(t ) = \varphi_X( f ) \On F(X)`$

$`f`$ の定義からの $`\varphi_X(f) = x`$ と組み合わせると、

$`\quad F(f)(t ) = x \On F(X)`$

これで、

$`\quad (x, f, t) : (X, x) \to (T, t) \In \mrm{El}(F)`$

であることが分かりました。

以上で、$`(X, x) \to (T, t) \In \mrm{El}(F)`$ の存在が言えました。$`(T, t)`$ が終対象であるためには、射の一意性が必要です。次のような射を想定します。

$`\quad (x, g, t) : (X, x)\to (T, t)\in \mrm{El}(F)\\
\quad g: X \to T \In \cat{C}
`$

要素の圏の射であることから、次の条件は満たしています。

$`\quad F(g)(t) = x \On F(X)`$

$`\varphi`$ が自然変換であることから、先ほどと同様な可換図式が存在します。

$`\begin{CD}
\cat{C}(T, T) @>{\varphi_T}>> F(T) \\
@V{\cat{C}(g, T)}VV @VV{F(g)}V \\
\cat{C}(X, T) @>{\varphi_X}>> F(X)
\end{CD}\\
\text{commutative in }{\bf Set}
`$

これをもとに少し計算すれば、 $`g = {\varphi_X}^{-1}(x)`$ が得られます。ところが、$`f = {\varphi_X}^{-1}(x)`$ だったので、$`g = f`$ となり、$`(x, g, t) = (x, f, t)`$ です。

極限の場合

ベクトル空間のテンソル積以外では、極限が目立った例でしょう。

$`D`$ を圏 $`\cat{C}`$ の図式〈diagram〉だとして、その極限対象を $`\lim D`$ 、極限錐 を $`\mrm{Lim}\, D`$ と書くことにします。極限を定義するためには、$`D`$ を底面とする錐の集合 $`\mrm{Cone}_D(\hyp)`$ を考えます。ここで、プレースホルダー〈ハイフン部分〉には錐の頂点が入ります。錐の集合は、次の反変関手だと考えられます。

$`\quad \mrm{Cone}_D : \cat{C}^\op \to {\bf Set}`$

極限は錐の圏の終対象ですが、より正確に言えば、グロタンディーク構成した平坦化圏 $`\int_\cat{C} \mrm{Cone}_D`$ の終対象 $`(\lim D, \mrm{Lim}\, D)`$ です。

$`(\lim D, \mrm{Lim}\, D)`$ は、反変関手 $`\mrm{Cone}_D`$ の表現ペアその2になるので:

$`\quad \mrm{Cone}_D \sim \mrm{Repr2}(\lim D, \mrm{Lim}\, D)`$

となります。