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参照用 記事

2013-01-01から1年間の記事一覧

楽観的並行性制御

「トランザクションの3つの方式」にて キューイング方式では、トランザクションの最後で1回しか実際の変更を試みません。失敗か成功かは楽観的並行性制御により判断すればいいでしょう。 と書きました。楽観的並行性制御とは、複数の並行プロセスからの変更…

モナドにおける「拡張」の補遺:アンクライスリ化かな

5月に「モナドにおける「拡張」とは何なのか? 色々と計算してみる」というエントリーを書いたのですが、それに少し補足をしておきます。「拡張」は、モナドやモナド類似物を使うときにとても重要な概念だと思っているので、繰り返しを厭わないで書きます。F…

トランザクションの3つの方式

昨日の記事「メイヤー代数やメイヤー加群はまだ整理不足」において、 双代数の条件を入れておいたのはトランザクションのためでした。トランザクションは、「更新オペレータをローカルでキューイングする」方式を前提とします。 と書きました。ここで、トラ…

メイヤー代数やメイヤー加群はまだ整理不足

「あわてて両モナドやメイヤー代数を復習する」と「メイヤー代数/メイヤー加群の定義を仕切り直す」において、以前に定義したメイヤー代数/メイヤー加群の定義はキツすぎると言いました。ですが、当時キツい定義を採用したのはそれなりの理由があってのこ…

どんき

長男:「俺、変な夢みちゃったよ」父親:「悪夢?」長男:「うん、いやな夢だった。その夢のなかでね、」父親:「うん」長男:「誰かに襲われたんだよ」父親:「夢のなかでね」長男:「いきなり後から電気のようなものでガンッて」父親:「電気? おまえそれ…

ガンソ・キムラヤ

銀座のパン屋さん木村屋總本店は有名ですが、それとは別に、確か「ガンソ・キムラヤ」とかいうパン屋さんが築地にあったような気がするんだけど。いやっ、むかーしむかしの話なので、今はどうなっているか分からないけど。場所的には、木村家ペストリーショ…

トポスとHoTTと象の絵

The nCategory Cafe の記事 "Synthetic ∞-Groupoid Theory" 経由で知ったマイク・シュルマン(Mike Shulman)のスライド "Homotopy type theory: towards Grothendieck's dream"。 http://home.sandiego.edu/~shulman/papers/hott-grothendieck.pdf スライド…

吸収モノイドを作る:計算科学にもエフイチの影?

謎の代数系エフイチ(一元体)は、伝統的な集合論のなかで定義するなら、台集合が“二元”集合 {0, 1} であるモノイドです。そのモノイド演算(掛け算とします)は次の表で与えられます。 × 0 1 0 0 0 1 0 1 こんなバカみたいないに簡単な代数系が21世紀の英知…

抽象度が足りないと苦労する

抽象的なことは分かりにくいとか扱いが難しいという話はよく聞きます。しかし、抽象的じゃないがゆえに煩雑だったり余計な手間がかかることもしばしばあります。「名前の削減問題からインスティチューションへ」で出した掛け算の法則 mult(unit, x) == x mul…

名前の削減問題からインスティチューションへ

「人はどのように“記号の乱用”をしているのか」は、名前を減らす方法を考えるために書いたものです。ソフトウェアが保持する名前が増えることは、複雑さが増大していることであり、あらゆる意味で負担が増えます。なんとかして名前を減らしたいのです。名前…

自然変換としてのzipをCatyScriptで書いてみた

昨日の「zipが自然変換だという話」において、zipの自然性は次の可換図式で表現できると述べました。 PLL(A, B) - zip_(A,B) → LP(A, B) | | PLL(f, g) LP(f, g) ↓ ↓ PLL(C, D) - zip_(C,D) → LP(C, D) ここで、PLLとLPは、C×C→C という関手です。A, B, C,…

zipが自然変換だという話

zipと言っても、圧縮&アーカイブのツールではありません。リスト処理の話です。ファスナーをしめる操作を連想させるのでzipと呼ぶのでしょう。今ここでは、「あのzipです」という以上の説明はしません。あのzipを型付けすると、自然変換だと解釈できます。…

人はどのように“記号の乱用”をしているのか

「“記号の乱用”を実装すべきかもしれない」と「Catyに出現する名前達」において、名前が増えすぎて困る問題について述べました。困った状況は相変わらずです。オーバーロードとか多相(総称、多態)は、名前を集約して減らす技術だとも言えるでしょう。実際…

歩道橋が撤去される

中目黒駅前の歩道橋が撤去されるようです。長い期間をかけた再開発計画の一環なのでしょう。こうして街の景観は変わっていきます。この歩道橋がなくなっても、僕は特に不便を感じません。が、ちょっと寂しい気はします。子供たち(特に長男)はこの歩道橋の…

メイヤー流の契約となんでもケーキ屋さん

昨日の記事の補足。メイヤー流の契約とは、ホーアの表明の変種に過ぎません。しかし、それを提供者(業者)と顧客のあいだの約束事という比喩を使った点がメイヤー先生の秀逸なアイデアです。そもそもメイヤー先生は比喩が大好きで、ときに牧場の牛だのカタ…

メイヤー流の契約のあいだの強弱関係

メイヤー(Bertrand Meyer)の意味の契約とは、関数や手続きを機能の提供者(業者)、機能を利用する側を顧客とみなしての責務に関する約束事です。契約のあいだには、より強い(きびしい)契約、より弱い(ゆるい)契約という順序関係があります。この強弱…

続・ホットな話題 The HoTT book 刊行!

「ホットな話題」で紹介した The HoTT book が完成して出版されたようです。 http://golem.ph.utexas.edu/category/2013/06/the_hott_book.html http://homotopytypetheory.org/book/ 紙の本は有料(でも安い!)ですが、PDF版は it will always be freely a…

カン拡張っぽいアレコレ

似た概念に記号法が色々ある。 もとになる関手 引き戻し それに沿った右カン拡張 それに沿った左カン拡張 J J*(G) J*(F) J!(F) J J*(G) RanJF LanJF Gの逆像 Fのコホモロジー順像 Fのホモロジー順像 J ΔJG ΠJF ΣJF 射影関数 ∀x.f ∃x.f J Jによる非対称テンソ…

対象と射を関手と自然変換に格上げする方法

圏論の小ネタ記事をもうひとつ。「キュリアの絵算」より: キュリアの方法(キュリアのオリジナルかどうかは分かりませんが)の特徴の1つは、自然変換の計算と射の計算を混ぜてしまうことです。最初は戸惑うのですが、慣れてしまうととても便利です。 自然変…

ホム関手が指数とみなされる理由

Cが圏であり、A, Bは圏Cの対象とします。AからBへの射の全体は C(A, B) と書かれ、ホムセット(ホム集合)と呼ばれます。HomC(A, B) という書き方もあります(昔はこの記法が主流だった)。Cが了解されているなら、単に Hom(A, B) とも書きます。いまは詳し…

デジタル半ネイティブ

6月17日・月曜の朝、NHK BS1 でコンフェデ杯「スペイン vs ウルグアイ」の中継があった。長男のtwitter投稿がテロップに流れたらしい。録画してあったので「これ、俺。俺だよ」と聞かされた。次男は最近LINEをインストールしたいというので、何に使うか聞い…

大きなフィギュア

Yahoo!の通信販売のフィギュアショップ http://store.shopping.yahoo.co.jp/dream-f/imp-as.html 大きなフィギュアを売っている。 ブラキオサウルス超巨大造形物(恐竜等身大フィギュア) 高さ18m 重さ3000kg 特価:7,200,000円(税込) これを[カ…

キュリアの絵算

「絵算したい人のためにオススメする3つのストリング図解説 (とオマケ)」において、ピエル-ルイ・キュリア(Pierre-Louis Curien)の "The Joy of String Diagrams"(http://hal.archives-ouvertes.fr/docs/00/69/71/15/PDF/csl-2008.pdf)について、「圏…

三浦さん

次男:「三浦さんてさ、年取っているのに頑張ってる人だよね」父親:「あー、三浦雄一郎さんね。80歳でエベレストだもんなー」次男:「それと、サッカーの三浦カズね」父親:「おーー、カズ、いま何歳だっけ?」次男:「46歳、Jリーグで一番年取ってる」父親…

絵算(ストリング図)における池袋駅問題の真相

上下左右で悩むアノ問題を「池袋駅問題」と呼ぶことにしたいと思います。「池袋駅」をはじめて引き合いに出したのは「モノイド閉圏、オダンゴ、留め金、池袋」です。左右(や上下)を逆転するのは「東口に西武線、西口に東武線」がある池袋駅みたいに混乱の…

絵算したい人のためにオススメする3つのストリング図解説 (とオマケ)

[追記]絵算をやってみたい人は、知識の習得だけでなく、双対や随伴に強くなるためのトレーニングを必ずしましょう。[/追記] 注意:人名はカタカナ書きしますが、発音の正確性(むしろ類似性)は保証できません。まず、ピエル-ルイ・キュリア(Pierre-Louis C…

小額決済は大変です

40円の買い物をすることを考えます。Paypalの小額決済(マイクロペイメント)の手数料は、「国内の場合: 5% + 7円」とのことなので、40円だと、2円 + 7円 = 9円の手数料で済みます。でも、物体だと梱包や配送のコストがかかるのでそれを入れると、40円のモ…

X for Xxx

"Short Contributions from the Workshop on Algebraic Process Calculi: The First Twenty Five Years and Beyond"(http://www.brics.dk/NS/05/3/BRICS-NS-05-3.pdf)という論文集に "V for Virtual" という論文があり、タイトルにひかれて眺めてみました…

つわ者達の世界

「キマイラ飼育記」は「モナド・ブログ」に変わりました -- って、前も同じようなこと言っていたわ。強モナド(strong monad)は誰が言い出したものか知りませんが、計算的な強モナド(computational strong monad)を利用し始めたのはモッジ(Eugenio Moggi…

独身男性にもコウノトリはモナドを運んでくるのか

「再びモナドへ」と言って、実際、多少はモナドについて調べているわけです。プログラミング言語の機能としてのモナドというよりは、モナド概念を利用して処理系を構成するほうの話がメインテーマです。例えば、少し古いですが、 Sheng Liang, Paul Hudak, M…