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参照用 記事

2019-01-01から1年間の記事一覧

微分幾何からゲージ理論へ

大連休も今日で最後、休日にはもう飽きたという人もいるんじゃないかな。少し前に書いた記事「多様体上のベクトルバンドルの接続と平行移動」で、アダム・マーシュのリーマン幾何のテキストを紹介しました。 Riemannian Geometry: Definitions, Pictures, an…

Wikipedia + YouTube = WikiTubia

だいぶ以前から、静止画の背景にテキストとナレーションだけのYouTube動画が現れ出して、「これ、動画の意味ないじゃん」と思っていたら、そのうち、Webページの画面ショット2,3枚を動画にするという、口がアングリのしろものまで投稿されるありさま。おそら…

圏論図式の描き方と解釈のコツ

圏論では、点と矢印の図〈dots-and-arrows diagram〉を使って計算や証明をすることがよくあります。通常目にする図式は、組版や印刷の都合から、単色でレイアウトも平面的です。でも、手描きするなら、色を付けたり、立体的に描いたりするとだいぶ分かりやす…

朗報です! スピヴァック〈Spivak〉のオンラインコースが無料で公開されました

先週土曜日(2019年4月20日)、タケヲさん(id:bonotake)から古い記事にコメントをいただきました。 朗報です! Spivakのオンラインコースが無料で公開されました! https://ocw.mit.edu/courses/mathematics/18-s097-applied-category-theory-january-iap-…

ファイバー付き圏: 手偏のあるなしとか

pseudo-functor について書いてる記事を検索しようとしたら、思ったより少なくて「アレッ?」。次の4つの表記が使われていて、一発では検索できないのであった。 擬関手 (手偏あり) 疑関手 (手偏なし) pseudo-functor (ハイフンあり) pseudofunctor (…

14年ぶりにファイバー付き圏

「インデックス付き圏を拡張してファイバー付き圏へ」にて、 この辺のことを知るには、今から14年前に紹介したことがあるアンジェロ・ヴィストリのテキスト(解説論文)を拾い読みするといいかもしれません。 と書いたので、ヴィストリ〈Angelo Vistoli〉の…

インデックス付き圏を拡張してファイバー付き圏へ

インデックス付き圏〈indexed category〉の定義を弱く(ゆるく)して、ファイバー付き圏〈fib(e)red category〉と同値な定義を得ます。内容: ファイバー付き圏とインデックス付き圏 2-関手として考える ストリング図とストライプ図 タイト2-関手 ファイバー…

古典的微分幾何・ベクトル解析のモダン化: 因習的微分幾何とその構造

久々の「モダン化」シリーズの記事です。以下のエントリーがシリーズのハブになっています。 古典的微分幾何・ベクトル解析のモダン化: ラムダ記法の利用 モダンの反対語として、「因習的」を使うことにします。モダンではない、因習的微分幾何のどこが何故…

微分は導関数より接写像のほうが分かりやすい

合成関数の微分公式と逆関数の微分公式は大事なんですが、あまり分かりやすくないですね。分かった気分になっても実際に計算に利用しようとすると戸惑ったりします。もうちょっと分かりやすく正確な表現方法はないものか? と考えてみました。内容: 愚痴と…

はてなブログのTeXレンダリングが謎の挙動

同じTeXコードを書いても、レンダリングされたりされなかったり。僕の環境で閲覧すると: https://m-hiyama-second.hatenablog.com/entry/2019/04/16/162950 は、ちゃんと表示されている。以下にスクリーンショット。 http://m-hiyama-memo.hatenablog.com/e…

TeXの欧文フォントと文字化け

「抽象微分多様体、もうチョット」で、マリオス微分幾何をやっている“マリオス本人以外の人”として名前を挙げたエフスタッヒオス・バシリウー〈Efstathios Vassiliou〉が次の論文を書いています。 Title: Transformations of Sheaf Connections Author: Efst…

令和生まれ

2019年4月1日のブログ記事の冒頭: エイプリルフール・ネタも令和ネタも書きません。 新元号に特段の感慨もなく、思い付くネタはないのですが、今朝、隣のオバサンの会話でちょっとニヤっとしたので、それについて。ニヤの意味は、「合理的な根拠はないけど…

抽象微分多様体、さらに:共変微分のアフィン構造

かなり気に入ったんだよね、マリオス微分幾何。 マリオスの抽象微分多様体 抽象微分多様体、もうチョット やはり、共変微分の議論はすごくラクチンです。共変微分の全体が、加群の足し算作用によるアフィン構造を持つことが明確に分かります。内容: 言葉の…

抽象微分多様体、もうチョット

[追記]エイプリルフール・ネタも令和ネタも書きません。[/追記]マリオス微分幾何は、「代数幾何の手法を真似しただけじゃん」と言われれば、まーそうなんですが、真似するにも技量とセンスが要ります。マリオスによる定式化は、いい感じのバランスを保ってい…

マリオスの抽象微分多様体

記事「コンピュータ科学や組み合わせ論を“微分幾何”とみなす:CADGの夢」(2016年) を書いた頃、「抽象微分幾何〈ADG : Abstract Differential Geometry〉」という言葉を、何人かの人が使っているのを知りました。そのなかでも、アナスタシオス・マリオス〈An…

多様体上のベクトルバンドルの接続と平行移動

多様体上で「ベクトルの平行移動」を定義して、それに基づいて共変微分を定義するのは、よく使われる普通の定式化です。平行移動と共変微分を繋ぐのは、「無限小の平行移動」という概念です。この「無限小の平行移動」のハッキリとした定義はあまり見かけま…

多変量正規分布 3: 身長・体重を回転するってなんだよ?

「多変量正規分布」シリーズはしばらく間が空きそうなので、ここで、動機とか見通しとかを、後で思い出すためのメモとして残しておきます。「多変量正規分布」とタイトルを付けながら、過去2回はアフィン空間の話だけでした。 多変量正規分布 1: アフィン空…

多変量正規分布 2: アフィン空間の位相的・測度的性質

前回の記事「多変量正規分布 1: アフィン空間」で、「次は二次形式」と書きましたが、その前に、アフィン空間の位相構造と測度構造について触れておきます。Rn上の正規分布だけを考えるなら、標準的な位相と測度を意識する必要はありません。一般的な(有限…

線形近似としての微分係数: フレシェ微分

関数fの点aにおける微分係数は、a近辺でfを良く近似する線形写像(正確にはアフィン線形写像の線形部分)とみなせます。線形近似としての微分の一般的な形はフレシェ微分〈Fréchet {derivative | differential}〉といいます。フレシェ微分の枠組みでは、“一…

多変量正規分布 1: アフィン空間

確率モデルのひとつであるガウス/マルコフ・モデルを理解したいのですが、その前に、多変量〈多次元〉正規分布を理解しないといけないようです。なので、多変量正規分布を調べています。多変量正規分布を理解するための予備知識を何回かに分けて書くつもり…

「従う」の使用例:正規分布とカイ二乗分布

昨日の記事「確率変数が分布に「従う」とは」で、「従う」という言葉の使い方を説明しました。この記事では、その使用例をひとつ挙げます。「確率変数が分布に従う」という言い方の例として、こんなのがあります。 正規分布に従う独立な確率変数X1とX2に対し…

確率変数が分布に「従う」とは

確率・統計に出てくる「よく分からない言葉」を、多少は「分かる言葉」にしようと詮索した記事を、過去に幾つか書きました。そのリストはこの記事の最後に載せることにして、扱った「よく分からない言葉」は: 確率変数 分布 母集団 標本 これらは「意味不明…

論理の限量子の使い方が嫌でも分かってしまう話

論理の限量子 -- つまり全称限量子(記号は'∀')と存在限量子(記号は'∃')-- の使い方が分からない、という質問・相談を受けることがあります。なかでも、「∀と∃の順序を交換してイイの? それともダメなの?」はFAQ〈Frequently Asked Question〉でして、…

インターネットを利用した詐欺行為

このブログの読者に、ネット詐欺への警告をするのはあまり意味がないと思いますが、「お知り合いなどに注意を促してください」という注意を促す意味で。それと、メール文面が面白かったので、詐欺メールを紹介します。2つあるうちの1つ目: 何日か前で、メー…

ベイズ確率論、ジェイコブス達の新しい風

バート・ジェイコブスとコラボレーター達は、現状のベイズ確率論で使われている概念・用語・記法とは異なる、完全に新しい概念・用語・記法を提案しています。悪しき風習やしがらみを断ち切って、理論をリフォーミュレートしたのです。従来のやり方に慣れて…

フランツによる統計的独立性の定義

「統計的独立性と線形独立性を共通に語ることは出来るのか?」では、シンプソン〈Alex Simpson〉による独立性構造を紹介しました。シンプソンの独立性は、かなり広い範囲の“独立性”概念をカバーするものです。もうひとつの独立性であるフランツ〈Uwe Franz〉…

統計的独立性と線形独立性を共通に語ることは出来るのか?

統計的独立性は確率・統計において重要な概念です。「独立」という言葉は色々な分野で使われます。おそらく一番お馴染みな独立性は、統計的独立性ではなくて線形独立性でしょう。単語として「独立」が使われているからといって、統計的独立性と線形独立性が…

随伴系の二重圏

ひとつ前の記事「随伴系の圏の多様性」にて: 1AdjL(Cat)(あるいは、1AdjR(Cat))だけでも、モナド/コモナドを調べる道具に使えます。が、やはり随伴系の二重圏が欲しい。というわけで、随伴系の二重圏についても述べたいとは思っています(いつかわからん…

随伴系の圏の多様性

随伴系〈adjunction | adjoint system〉の全体を、圏に編成することができます。しかし、その編成の方法と出来上がる圏は実に様々です。この多様性を捨て去るのではなくて、多様性自体を主題にするのも面白いかもな、と思います。この記事は、モナド関連の話…

素粒子の質を作り変えよう

おおおおー、すげーな、これ。素粒子の質を作り変えるのかぁ。となると、加速器が必要でしょうね。例えば、CERN〈欧州原子核研究機構〉のLHC〈Large Hadron Collider | 大型ハドロン衝突型加速器〉は周長27kmの巨大施設。CERNといえば、最近(2019年1月)、…