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参照用 記事

2018-01-01から1年間の記事一覧

確率空間の凸結合と分割

確率空間に対して、直和に似た演算として凸結合を導入し、そこから見方を変えて確率空間の分割を定義します。内容: 確率空間 確率空間の独立積 確率空間の直和類似物は? 確率空間の凸結合 確率空間の分割 おわりに 確率空間この記事は、もっと長い記事の前…

分布から拡散へ: ミシェル・ジリィを巡って

確率・統計の概念・用語には、不明瞭なものが多くて難儀します。こういった不明瞭さに対して、きわめてクリアな解釈を与えてくれる道具にジリィモナド〈Giry monad〉があります。ところが、ジリィモナド周辺もかなりとっ散らかった印象があります。ジリィモ…

ラムダ記法とイプシロン記法を組み合わせて関数を定義する

イプシロン記号/イプシロン記法/イプシロン計算については何度か述べたことがあります。今回は、イプシロンを実用的に使うための補助構文について述べます。ここで述べるアイディアは、証明検証系Mizarから拝借しています。ただし、Mizarそのものには触れ…

その時の事実だけが問題なのではない: 日大アメフト部問題

このブログで、世間で話題のニュースに反応することは、ほとんどありません。稀に反応するときって、もうお決まりで、僕がどういう偏向を持っているか明らかですね -- 根性論、精神論がホントに嫌いなんです。次の2つの過去記事から、他の“アンチ根性論”記事…

とある心理学実験への参照

日本大学のアメリカンフットボール部の選手の記者会見を見ました。彼が全く悪くないと主張するつもりはないけど、「監督とコーチに言われた」らやるしかない、となるのは当然な気がする。おそらく多くの人が指摘してんだろう、と思うけど、次の有名な心理学…

ド・ラーム・コホモロジーとホッジ分解のオモチャ (2/2)

「ド・ラーム・コホモロジーとホッジ分解のオモチャ (1/2)」の続き・後編です。今回の第2節から第6節(全8節)で、オモチャ=有限離散モデルを作ります。この部分は、純粋に線形代数の話です。ここだけを取り出して(文脈を無視して)、線形代数の練習問題と…

ド・ラーム・コホモロジーとホッジ分解のオモチャ (1/2)

技術者・プログラマが、ド・ラーム理論〈de Rham theory〉やホッジ理論〈Hodge theory〉を必要とすることなんてあるのか? ほとんどないとは思うのですが、「稀にはある」というのはどうも事実のようです。なので、そのテの話をします。簡単なオモチャ〈toy …

象を冷蔵庫に入れるには?

今日書いた記事「米田、米田、米田」のジョーク "all theorems are Yoneda." に関して検索しているときGoogleブックス検索で見つかったのが次の本 "Encyclopedia of Humor Studies":Encyclopedia of Humor Studies作者: Attardo出版社/メーカー: SAGE Publi…

米田、米田、米田

米田埋め込みは頻繁に登場するので、短く印象的な記法を使いたいのは人情でしょう。「米田の「よ」とか: ちょっと変わった記法・名前達」で、ひらがな「よ」を使う書き方を紹介しました。僕も「よ」を使ってみたのですが、ちょっと問題があるのに気付きまし…

viXraを眺める

暇で無気力なとき、viXra(http://vixra.org/ または http://www.rxiv.org/)を眺めると癒やされます。現代のポエム(広義)の宝庫。 arXiv.orgのオルタナティブ!? viXra.org viXraのトンデモとarXivのトンデモ 真面目に「arXiv vs. viXra」、そしてトンデモ…

絵算からテキスト、そして可換図式化もやってみた(当然疲れた)

「絵算のテキスト化を完全にやってみた(超・疲れた)」において、絵算の計算過程を、行列レイアウトの等式的推論としてテキストに写し取ってみました。これは、値を変えずに項を変形していく過程で、通常の等式変形(等式論理系における証明)そのものです…

絵算のテキスト化を完全にやってみた(超・疲れた)

4月26日の記事「新しい絵算手法:ストリング+ストライプ図」を書いた時点で、例題である“結合律”を証明する絵〈pictorial proof〉は描いていました。翌日の「絵算のテキスト表現(結論:疲れる)」において、行列レイアウトを使って絵の一部をテキストに写…

絵算のテキスト表現(結論:疲れる)

昨日、新しい絵算手法について述べたのですが、絵算の困るところは、適切な描画ツールがない、絵をテキストにシリアライズ/エンコードする方法とデータ交換形式〈data interchange format〉がないことです。“絵”と“絵の変形過程”をテキスト表現できれば、コ…

新しい絵算手法:ストリング+ストライプ図

ここ数日、新しい絵算〈{pictorial | graphical | diagrammatic} calculation〉を考えて試しているんですけど、けっこう使えそう。新しいとは言っても、本質的に新しいものではなくて、既存の2つの描画法を組み合わせたものです。ストリング図とストライプ図…

自然同型と自然同値

僕、自然同型〈natural isomorphism〉と自然同値〈natural equivalence〉という言葉を区別してなかったわ。 「自然同型」を含む記事の一覧(25件 2018-04-25時点、この記事除く) 「自然同値」を含む記事の一覧 (6件 2018-04-25時点、この記事除く) nLabに…

指数関手や加群圏の簡単な例

比較的最近の記事で二項指数関手を扱い、その例を幾つか挙げています。 指数関手と構文論・意味論 // 二項指数関手の例 上記の記事より簡単な例をここで述べます。加群圏とその準同型についても触れます。内容: 有限集合と有限次元ベクトル空間 写像ベクト…

モノイド・スタンピングと単純スタンピング

僕はモノイド・スタンピング〈monoidal stamping〉という言葉をよく使います。この言葉を使い始めたのはバーボーサ*1〈Luis S. Barbosa〉ではないかと思います。つうか、バーボーサ以外の人が使っている例を僕は知りません(僕自身は盛んに使ってますが)。…

TypeScriptでモナド 改善編

以前にTypeScriptでモナドを書いてみたことがあるのですが、名前の組織化がイマイチな感じだったので改善してみました。内容: モナド モナドの各部を表す名前 TypeScriptへの翻訳 TypeScriptコード おわりに モナドモナドなんて知らないぞ、って方は次の記…

距離空間と位相空間と連続写像

「イプシロン-デルタ論法って、なんすかアレ? 全然分からないっす!」と言っていたN君も、最近では一般の位相空間の話なんぞをしています。今回は、距離空間と位相空間のあいだの関係を把握するヒントを書いておきます。内容: 距離と開球体の復習 写像の連…

指数関手と構文論・意味論

論理やプログラミング言語の構文論と意味論の枠組みとして、指数関手が使えるだろう/使いたい、と思っています。そのなかで、高次圏(少なくとも厳密2-圏)やカン拡張も必要となります。内容: 動機:構文論・意味論の記述 指数関数とその用語法 指数関数か…

圏のサイズとサイズによる“圏の圏”の分類

先週の話題を引っぱって、圏のサイズ問題なんですが、圏のサイズを何種類か定義して、それに伴って現れる“圏の圏”に名前を付けておきます。Uがグロタンディーク宇宙である条件に、ω∈U を含めます。ωは自然数の集合Nと同じです。ωは可算無限基数の意味ですが…

ホムセットは交わるのか

Cが圏のとき、A, B, C, D∈|C| として、ホムセットの共通部分 C(A, B)∩C(C, D) はいったいどうなってんでしょう?内容: dom/codを使った定義では 集合圏上の豊饒圏としては 米田埋め込みへの影響 たいした問題ではない dom/codを使った定義ではf∈C(A, B)∩C(C…

あなたはこの公理を信じますか

一昨々日: 階層的な圏論的宇宙・楽観的暫定版 一昨日: 入れ子の宇宙を可能とする公理 昨日: グロタンディーク宇宙って何なんだ? 信じる者は救われる or 巣食われる公理というのは、明らかに矛盾があれば別だけど、そうじゃないなら、採用するかしないか…

グロタンディーク宇宙って何なんだ?

グロタンディーク宇宙について、どうも僕は曲解していたような気がします。-- 本日も雑感垂れ流し日記。昨日の「入れ子の宇宙を可能とする公理」で、宇宙公理〈the universe axiom〉を認めてしまえば、グロタンディーク宇宙の無限系列 U0, U1, U2, ... が作…

入れ子の宇宙を可能とする公理

昨日「階層的な圏論的宇宙・楽観的暫定版」において、グロタンディーク宇宙の無限系列 U0, U1, U2, ... があったらいいな、という話を書きました。圏論の宇宙に関する資料はなかなか見つからないのですが、ロー〈Zhen Lin Low〉の次の論文があります。 Title…

階層的な圏論的宇宙・楽観的暫定版

1つまたは少数の圏を扱う場合でも、圏論的宇宙全体の構造を知っていたほうがいい場合があります。とはいえ、圏論的宇宙全体は難しいですね。とりあえずは、次の基本的な観測を合理化することを考えます。 j次元の圏の全体は、(j + 1)次元の圏とみなせる。 「…

なにゆえにカン拡張なのか

「カン拡張のために、柱の絵を描く」にて: 特にシリーズ記事とかにしませんが、関連する幾つかの記事達が、全体としてカン拡張の説明になればいいな、というゆるい計画はあります。 というわけですが、カン拡張を知ったら何かいいことがあるんでしょうか?…

随伴系の書き方

F:C→DとG:D→C が随伴関手対で、Fが左随伴、Gが右随伴のとき、僕はこの事を次のように書いています(「圏論の随伴をちゃんと抑えよう // 随伴系の書き方と事例」参照)。 F -| G:D→C 逆ターンスタイル記号'-|'を使うのは一般的です。しかし、その後に書く圏と…

カン拡張のために、柱の絵を描く

この記事は、ゆっくりと具体的にカン拡張へと近づいて行こう、という試みの一環です。カン拡張の説明に、ペースティング図やストリング図は必須ですが、もっと“写実的”な描画法として、点と矢印が錯綜する空間内に描出される“柱”の絵を描いてみます。内容: …

圏論の極限を具体的に

小さい圏Cから集合圏Setへの関手 F:C→Set に限定して、その極限を具体的に扱います。具体的とは、極限を、(無限かも知れない)直積と条件絞り込みで実際に構成することを意味します。具体的構成の方針(精神)は、「錐〈すい〉集合関手の表現対象を作りまし…