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参照用 記事

入れ子の半グラフとバエズ/ドーラン・ツリー

階層的なシステムの絵図的〈pictorial | graphical | diagrammatic〉記述として入れ子の半グラフがあります。入れ子の半グラフについては、「半グラフからシステムの記述へ」で述べました。入れ子の半グラフと概念的には同じですが、別な描画法としてバエズ…

半グラフからシステムの記述へ

次の2つの過去記事で半グラフ/型付き半グラフについて述べました。 テンソルの可視化のための半グラフ 型付き半グラフと指標 半グラフ/型付き半グラフの使いみちとして、システムの記述があります。システムは階層的に構成されることがあります。階層的な…

ベクトル空間の部分空間のジョイン・ミート・和

小ネタ。$`V`$ をベクトル空間として、$`A, B`$ は $`V`$ の部分空間〈部分ベクトル空間〉だとします。そのとき、$`\quad A + B = V \Leftrightarrow A \oplus B \cong V`$という話をします。ここで、$`\oplus`$ はベクトル空間の直和です。$`+`$ は後で説明…

型付き半グラフと指標

「テンソルの可視化のための半グラフ」において、半グラフの定義をひとつに決めました。素の半グラフ〈plain semi-graph〉だけでなくて、様々な構造を追加した半グラフ〈structured semi-graph〉も必要になります。ここでは、ポートに(必然的にワイヤーにも…

テンソルの可視化のための半グラフ

以下の2つの過去記事で半グラフ〈semi-graph〉を扱っています。 半グラフの様々な定義 サークルを持つ半グラフ 心づもりとしては、キッシンジャー〈Aleks Kissinger〉の抽象テンソルシステム〈abstract tensor system〉(本文内の[Kis13])や物理で出てくる…

圏のサイズと緩さと豊穣圏

「だいたい圏になる: 概圏」で、概圏〈almost category〉という概念を提案しました。概圏が通常の圏〈局所小圏〉と違う点は: [ホムセットのサイズ] ホムセットが小さくなくてもよい。 [法則の緩さ〈ゆるさ〉] 法則〈公理〉が等式的でなくてもよい。 「概圏…

フィードバック付きモノイド圏とその周辺

「だいたい圏になる: 概圏」において次のように書きました。 $`\mathcal{C}`$ から $`\mathcal{D}`$ を作る行為は、ダイアレクト構成〈dialect construction〉と呼ばれる構成法の一部です。 「ダイアレクト構成」に言及したものの、「それって何だっけ?」…

概圏の事例(整理して再度)

「だいたい圏になる: 概圏」の概圏の事例の記述がグダグダでした。修正を入れましたが、もとの文言をできるだけ残して修正・追記しているので読みにくいかも知れません。整理してもう一度最初から述べます。概圏の3つの事例を、3つの構成〈construction〉と…

だいたい圏になる: 概圏

「スパンの圏って定義できるの?」において、素朴に「スパンを射とみなす」だけでは圏にならないことを注意しました。しかし、“圏もどき”にはなっています。スパンの圏以外でも、「けっこう圏に近い圏もどき」が出てきます。このとき、何の断りもなく圏扱い…

随伴系とカン拡張

随伴系〈adjunction | adjoint system〉は既に知られているとして、随伴系をカン拡張の枠組みで解釈できるでしょうか? できます。やってみます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\twoto}{\Rightarrow …

米田の補題と左カン拡張

米田の補題は既に知られているとして、米田の補題を左カン拡張の枠組みで解釈できるでしょうか? できます。やってみます。$`\newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\twoto}{\Rightarrow } \newcommand{\In}{\t…

カン拡張の普遍性とは?

過去記事「アドホック随伴系と自由対象・台対象」において、次のように書きました。 抽象的構造を記述する際に、その構成素〈constituent〉達の名前(記号ラベルと役割り名)をどう付けるかはどうでもいいのです...[snip]... 名前のズレがあると「どうでもい…

自然変換を全部列挙する

米田の補題から言えることのひとつに、「自然変換はそんなに多くはない」ことがあります。2つの関手 $`F, G`$ のあいだの“すべての自然変換”というと、初見では、そもそも通常の集合〈小さい集合〉になるのかさえ不安ですが、たいていは通常の集合として記述…

データベース:: テーブル間の参照

「データベース:: テーブル構造とデータベース構造」において: 関係データベースは、テーブルのあいだの参照(外部キー)メカニズムを持っています。システムが組み込みで持っているメカニズムを、数理モデルに取り込まないわけにはいかないので、参照はデ…

圏論の普遍性が難しい理由

圏論の「普遍性」という言葉は、曖昧多義で何を言っているか分からなくなるリスクがあるので、個人的には使わないようにしています。「普遍性」「普遍対象」などの代わりに、(とある圏)の終対象または始対象である旨を明示することが多いです。とはいえ、…

アドホック随伴系と自由対象・台対象

割とよく使われる概念であっても、合意された名前がないと、ソレについて語ることが困難です。随伴系〈adjunction | adjoint system〉にはなっていない“随伴系もどき”はけっこう登場するのですが、これといった名前はないようです。ここでは、ソレをアドホッ…

随伴の自然なホムセット同型から単位自然変換へ

「代数的な随伴系から自然なホムセット同型へ」において、次のように書きました。 “自然なホムセット同型”から“単位と余単位を含む代数系”を作るほうは、(僕は)うまくストリング図が描けなくて毎回行き詰まります。なので、やりません(うまくいったら報告…

ファミリー構成モナド: 大規模構造の事例として

圏 $`\mathcal{C}`$ の対象ファミリー〈family of objects〉を対象として、対象ファミリーのあいだの準同型射を射とした圏を構成できます。この圏を $`\mathrm{Fam}(\mathcal{C})`$ とします。圏 $`\mathcal{C}`$ を引数変数と考えると、$`\mathrm{Fam}`$ は…

多項式関手、図式ドクトリン、余多項式関手

応用圏論では、多項式関手を様々な分野で使うことが始まっています。多項式関手の圏は、集合圏上の余前層の圏 (自己関手圏にもなる)の部分圏ですが、集合圏を一般の圏にした多項式関手も定義できます。双対的に余多項式関手も定義できます。$`\newcommand{…

それでもカン拡張の左右を忘れてしまう

何の必然性もなく命名された「左」「右」を憶えるのは大変です。「ガーッ! また左と右が。カン拡張」より: 以前、「カン拡張における上下左右: 入門の前に整理すべきこと」というけっこう長い記事を書いたにもかかわらず、 -- にもかかわらずですね、カン…

米田埋め込みの繰り返しと淡中再構成

ここ最近、米田の補題に関連する記事を幾つか書いています。 07-06 大域米田の補題 07-11 関手・自然変換のカリー化 07-13 前層を特定対象で評価する関手の表現 07-20 反対圏と反変関手はややこしい 07-21 高階関手の計算: 米田と淡中の周辺 動機はなんなの…

高階関手の計算: 米田と淡中の周辺

高階関手〈higher-order functor〉は、高次圏のn-関手〈n-functor | higher functor〉のことではなくて、高階関数と同様に、関手(または自然変換)を引数にしたり、関手(または自然変換)を返すような関手のことです。高階関数の計算が、関数を射とする圏…

反対圏と反変関手はややこしい

大域米田の補題などを扱う場合は、関手や自然変換の向きに注意する必要があります。向きをどんな約束で決めているか、向きが保存されるか/変更されるかをちゃんと追跡しないと混乱します。向きの約束や保存/変更の法則は、様々な要因が絡んできて思いのほ…

この2つのミニマムな解説はほんとに便利だ

2つのミニマムな解説とは: バエズの"Should know" レンスターの"Basic bicat" 書誌情報をちゃんと書けば以下のとおり。 Title: Some Definitions Everyone Should Know Author: John C. Baez Date: May 13, 2010 Pages: 6p URL: http://math.ucr.edu/home/b…

前層を特定対象で評価する関手の表現

大域米田の補題を使った計算練習をしてみます。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} %\newcommand{\Imp}{ \Rightarrow } \newcommand{\In}{ \text{ in } } \newcommand{\mrm}[1]{\mathrm{#1}} \newcommand{\op}{\mathrm{op}} \newcommand{\id}{\mathrm{id}…

関手・自然変換のカリー化

関数はカリー化できて、それは便利な道具になります。同様に、関手をカリー化することができます。関手のカリー化は割とお馴染みかも知れません。それだけでなく、自然変換もカリー化することができます。$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} %\newcommand…

スパンの圏って定義できるの?

圏 $`\mathcal{C}`$ がファイバー積を持つなら、$`\mathcal{C}`$ のスパンの圏を構成できると言われています。これって、ほんとうでしょうか?$`\newcommand{\cat}[1]{\mathcal{#1}} \newcommand{\id}{\mathrm{id} } %\newcommand{\op}{\mathrm{op} } \newco…

反対圏/反変関手と、2-圏のストリング図

昨日の記事「大域米田の補題」において、大域米田の補題に関する計算について、次のように書きました。 テキストで計算していると何がなんだかワケワカメになることがあるので、絵算〈{pictorial | graphical} calculus〉を利用するのが得策でしょう。「米田…

大域米田の補題

通常、米田の補題と呼ばれている定理は局所的〈local〉、あるいは点ごと〈point-wise〉の主張です。もっと広範囲・大規模な構造に関する主張も言えます。その広範囲・大規模な主張を、ここでは大域米田の補題〈global Yoneda lemma〉と呼んでおきましょう。…

関手の表現可能性と、要素の圏の終対象・始対象

最近(2023-06)の記事「双線形写像集合関手の表現可能性とテンソル積の普遍性」において、2つの有限次元ベクトル空間 $`A, B`$ からの双線形写像集合を対応させる共変関手 $`T_{A, B}(\text{-})`$ の表現対象がテンソル積空間 $`A\otimes B`$ になる、とい…